〈シャネル/CHANEL〉から新たに届いたのは、フレグランス「ブルー ドゥ シャネル」のメッセージが込められたフィルム。俳優ティモシー・シャラメと映画監督マーティン・スコセッシという豪華で稀有な組み合わせが、自由に生きる喜びを描き出した。
「ブルー ドゥ シャネル」の世界観をティモシー・シャラメが表現
マーティン・スコセッシが監督した香水のキャンペーンフィルム
2010年の誕生以来、メンズフレグランスの常識を打ち破ってきた「ブルー ドゥ シャネル」。2023年より俳優ティモシー・シャラメがアンバサダーを務める。
「〈シャネル〉には表立って示さないさりげない主張があり、それは最も洗練された粋な方法だと思っています。それが、このブランドと仕事をすることの喜びになっています」。アンバサダー就任の思いを、シャラメはこう語った。彼にとって、香りとは瞬間を象徴する存在だという。
「映画やストーリーと同じように、背後にある物語を自由に解釈できるところが、『ブルー ドゥ シャネル』の特に気に入っているところです。繊細な主張と、それを身につける人の独自の解釈、そしてその香りによって最終的にどう感じるか、ということが重要。私はいつも香水をつけるわけではありませんが、香りを身に纏うとそれがある瞬間の象徴となり、後にはその瞬間へのノスタルジーが生まれ、さらに意味深いものになるのだと思っています。香りとはメディアでは伝わらない、視覚的な空間では商品化されていないもの。クリエイティブな自己表現の最後の砦のひとつでもあります。それは、自分の服の肌触りが決して誰にも伝わらないのと同じで、本当に自分だけのものなのです」
「ブルー ドゥ シャネル」のキャンペーンでは、シャラメは巨匠マーティン・スコセッシが監督したショートフィルムにて、まるで自身かのようなトップスターの役どころを演じた。脚本は、スコセッシが彼にあて書きしたものだという。そこで描かれるのは、名声と喧騒に包まれた1日だ。
有名になると、常に人目に晒され、社交や演出のために思ってもいないことを話さなければいけない。そうやって、俳優は現実の中でも"台本通り"の道を歩んでしまうことがある。そんな極めて現代的な問題意識を、スコセッシは鋭く光らせた。
シャラメ扮する人気俳優は、仮面をつけた外向けの自分と、一人の人間として苦悩を抱える自分との間で揺れ動く。物語はコントラストの効いた白黒画面で展開され、そんな葛藤を浮き彫りにする。ところが、ふと、スクリーンの中に青い光が差す。魔法のような色使いは、主人公の内なる真実を照らし出すようだ。そこから彼は、誰でもない自分自身を取り戻すための冒険に出かける。
約1分半の映像に込められたのは、“FIND YOUR BLUE, FIND YOURSELF”というメッセージ。「ブルー ドゥ シャネル」は、魅惑的なアロマティックウッディノートを特長とし、メゾンを象徴する香りとして愛されてきた。タフで、大胆で、自由。そんなエッセンスを、今回スコセッシが再解釈したのだ。
映像内でシャラメが演じたキャラクターが抱える闇は、実は今を生きる私たち全員が共有している。ある意味誰もが有名人になりうる時代に、本当の意味でたくましく自分らしく生きていくことはたやすくはない。だからこそ、「ブルー ドゥ シャネル」はこう告げる。取りつくろわず、あえて弱さもさらけ出すことが真の強さかもしれない、と。
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Text_Motoko KUROKI