あなたは「視覚」「聴覚」「身体感覚」どれが優位?
“利き感覚”で深めるファンタジー 性がキレイを決める 房中養生入門 其の十一

ある年配の女性から「私は四柱推命をやっているので、生年月日を教えてください」と言われたので、素直に答えたところ、「警戒して教えてくれない人もいてね…なんだか自分を信用してもらえない気がして、そういう人とは打ち解けられないのよ。でも、そんな人に限って占ってみると、たいしたことない結果なの!」とおっしゃる。生年月日くらいもったいぶらずにとっとと教えなさいよ、という圧力をじわりと感じ、「即答した自分、グッジョブ」と胸をなでおろしました。
それとは逆に、「いいですか鰻澤さん、生年月日と生まれた時間でそのひとの人生はほとんどバレてしまいます。間違っても公にしてはいけませんよ」というアドバイスを、スピリチュアルを生業とする方にいただいたことがあります。もし私が銀行口座の暗証番号を生年月日にしているとしたら、公開を迷うかもしれません。
以前、友人の紹介で、なかなか予約がとれないと評判の占い師に見てもらったところ、取り掛かろうとしていた新規の仕事を一年延期した方がいいと言われました。それ以来、きちんと占ってもらうことで自分の人生の決定に迷いが生じてしまうのではないか、と少しだけ怖くなりました。とはいえ、「あなたはこうですよ~」と書かれた占いのページを読むのは楽しいですし、四柱推命ベースの占いもホロスコープによる占いも、ニュアンスは違えども総じて同じような診断結果を言っているのは、さすが統計学と表現されるだけあって面白いことだなぁと眺めています。
房中養生の古い文献にも「人相学でわかるシモの善し悪し診断」的なものがあり、色々な意味で占いの奥深さを感じたりしています。
お茶やお酒をいただきながら、気の置けない仲間と占いのページをめくり、ああだこうだと話すのは随分と盛り上がります。かつて「動物占い」が流行っていたときに、占いを信じないと主張する友人が叫んだ「私、ペガサスなの…?ペ、ペガサスは動物じゃないっっ!」という超正論は、酔いがまわった席で腹がよじれるほど笑いました。
当たるも八卦、当たらぬも八卦ですが、どんな占いであれ「これは自分にあてはまるなぁ」と感じる部分が少しでもあると、それが己の本音を知る手がかりとなっていたりして、良いことが書かれていれば「私のいいとこ、まさにコレ!言語化するとこういうこと!」なんてポジティブに自己分析を楽しんでいます。
【自分の優位感覚を診断!】
占いではないのですが、私がセクシャルカウンセリングのときに用いているのがNLP(神経言語プログラミング)というコミュニケーションツール。ヒトには五感(視覚・聴覚・身体感覚・嗅覚・味覚)のうち「優位感覚」と呼ばれる「利き感覚」が存在します。同じ体験をしたとしてもヒトそれぞれ優位に働く感覚は違ったものになり、「視覚Visual優位型」「聴覚Auditory優位型」「身体感覚Kinesthetic優位型」と3つの傾向があります(味覚と嗅覚は身体感覚の一部ととらえます)。それぞれの頭文字を取りVAK分類と言うのですが、その優位感覚の特性を活かして、他者や自分自身とのコミュニケーションを深めるという方法です。
例えば“ファッション”に関することでも、優位感覚ごとにこんな違いが出てきます。
・「視覚優位型」は見えている映像や頭の中に描かれるイメージを表現する傾向があるので、色やスタイル重視で、自分に似合っているかを確かめるために試着をします。
・「聴覚優位型」は音や言葉に敏感な傾向があります。流行に敏感で、店員さんのアドバイスもよく聞き、色や形などの要望を適切に伝えます。
・「身体感覚優位型」は言葉や体験を身体の感覚によって受け止め、味わう傾向があります。素材や肌触りにこだわり、個性的なスタイルを好み、着心地を確認するために試着をします。
このように優位な感覚が何であるかによって、ファッションだけでなく、言葉遣いや話し方などあらゆる表現に違いが現れるのです。
この分類を利用して、「性欲が低下気味なのだけれど」「なんか最近マンネリで」なんていうお悩みを打破するために、自分と相手の優位感覚をセックスのときに利用してみてはどうかという提案をしています。視覚優位ならふたりでアダルトビデオを観てみる、とか、聴覚優位ならセックスの最中の音にフォーカスしてみる、とか。さらに優位感覚を自覚することで、自分自身とのコミュニケーションに活かすこともできます。自慰行為の際のセクシャルファンタジーを自分の優位感覚を踏まえて上手に盛り上げ、今までにないエロチックな自分を楽しんでみてはいかがでしょうか。
陶芸家の亀江道子さんの京薩摩。和洋折衷なホロスコープモチーフに一目惚れ。私にもっとお金があったならば…!!(残念ながら金運はないと占われていることが多いです)
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鰻澤智美
ヨガ、鍼灸、カウンセリングをベースに、房中養生によるヘルスケアに取り組んでいる
Illustration: ancco