買い物ラバーならずとも、社会人になると交際費も馬鹿にならず… いつになったら、余裕のある暮らしができるの!という嘆きを引っ提げて、お金のプロ・加谷珪一さんに教えを請いました。1回目は、飲み会の是非。年末年始は付き合いも大事だけど、その飲み会、あなたの人生にどんな価値をもたらしてくれる?
今夜も飲み会行くの?八方美人の代償――お金がたまる行動習慣vol.1

お金は「人生を豊かにする潤滑剤」
と認識しよう
まず、お金お金!という拝金主義をお勧めしているわけではありません。お金は、「人生を豊かにするもの」です。人間関係の潤滑剤にもなりますし、この潤滑剤をうまくコントロールすることがポイントです。
支出の仕方を考えると、おのずと使い方を考えるようになり、最終的には、自分の仕事や稼ぎ方も変わってくるものです。そこでまず、簡単に変えられることとして、自分の“タメになる使い方”を考えて、行動から取り入れてみましょう。
飲み会の出欠、見極めポイント
ずばり言えるのは、「本当にこの人と会って良い影響があるか」ということです。もちろん、旧知の知り合いや女子会、職場の愚痴を吐き出すのもストレス解消につながるかもしれません。しかし、これが、あなた自身の収入や資産状況にプラスになるかどうかは恐らく「ノー」です。
こんな考え方もできます。例えば、あまり気が進まない飲み会に誘われたとしましょう。その時はこの言葉を思い出してください。「飲み会の3時間、アルバイトに換算したらいくらになる? 1200円×3時間として、3600円。それをペイできる価値が見出せる飲み会?」
これでも判断に迷うときは、以下の判断基準もおススメです。
・収入が自分と同ランクの仲間でなくワンランク上
・違う業界、もしくは役職が上のステータス
仕事の付き合いで「行きたくないけど行かなきゃならない」という飲み会も多いはず。嫌だと思っても、普段の自分の収入帯より上の人たちが集う場なら、それは価値のあるものになる可能性が大きいです。彼らの言動、立ち居振る舞いから、キャリアアップのヒントを集めたり、上に立つ者だからこその視点は、同レベルの仲間からは得られるものではありません。
また、人間関係のストレスからは、自分がレベルアップすることでも抜け出せます。転職した経験のある方ならわかると思いますが、職場のレベルが上がれば、以前のことなど気にもならないはずです。
今年こそ過去半年の飲み会費を
洗い出そう!
飲み会のお金を自分で出す場合なら尚更。お金と時間をかけて意味があるのか、という問いを習慣付けると、多くのことが取捨選択でき、自分にとって本当に必要なことが自ずと分かってきます。
思い当たる節がある人は、まず過去半年間の飲み会の出費をエクセルでもメモでも、一度書き出してみることをお勧めします。会社員Sさんの場合、平均して週1度飲み会に自費で参加。1回当たり5000円×月4回6カ月=12万円。年間24万円です。時期的に変動することもあるでしょうが、簡単に計算しただけでもこの数字です。
果たして、スケジュール帳に書き込まれた飲み会の予定は、その金額をペイできるだけの価値があるでしょうか?仲間と「励ましあえる」のはストレスを発散できて良いことかもしれませんが、所詮同レベルの人々のマウンティング合戦。愚痴を言い合ってすっきりするのも、一時的な誤魔化しで、根本的な解決にはならないことは分かっているはず。ついでに、お金と同時に時間も消費していることをお忘れなく。同じストレスを解消するなら、家で、自分で自分を労わりましょう。
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加谷珪一
経済評論家。仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。経済、ビジネス、マネー、政治、ITなどの分野で執筆を行っており、多くの媒体で連載を持つ。「加谷珪一の分かりやすい話」にて、お金から社会問題まで、日々情報を更新中。