今年はゴールデン・ウィーク10連休!海外旅行に行きたいけど、チケット高いし……と悩んでいるなら、国内旅、それもローカル旅という選択肢もあり。お金と経済のプロ・加谷珪一さんが読み解く、旅行にまつわるアレコレ。時間の過ごし方は海外旅行だけじゃないよ!
格安チケットの悲劇…GWは「地元旅」もアリ:お金に愛されるためにvol.3

格安サイトを通じて購入するリスク
昨年9月上旬に関西で大暴れした台風21号を覚えていますか? 関西国際空港に通じる連絡橋にタンカーが衝突して、空港が一時期閉鎖になったあの件です。この時、関西国際空港を離発着する便のチケットを、某格安予約サイトを通じて購入していた利用客は災難に見舞われました。
そもそもこの某予約サイトは、拠点が海外のため、日本の旅行業の顧客保護の対象には当たらない。なので、台風の影響でキャンセルをしたいと思って電話をかけつづけても、つながらない。やっと出たと思った相手方は英語がそこまで得意ではない外国人……事態を把握できないままに、全額支払った、なんてケースが続出したようです。格安チケットだったりすると、キャンセル対応やリコンファームのカスタマーデスクへのアクセスが非常にわかりにくいことも往々にしてあります。
不測の事態が起こらなければ、楽しい海外旅行で終わるのですが、何かあれば、安いと思って買ったチケットも結局は割高だった、なんてことになる可能性だってあります。今は航空会社も競争が激化して必死な状況ですから、利用者にとっては悪質ともとれる結末が待っていることを知ってください。
女子旅も家族旅行もイケちゃうスポット
「海外旅行に行くな」と言っている訳ではありません! ただ、これから高いチケット代を払って、日本人観光客で混みあったエリアを観光し、夜は妥協したホテルに泊まる…そこまでして海外旅行に躍起にならずとも、国内にも楽しいスポットはあるはずです。
都心に近いエリアに住んでいる方を想定しますが、小旅行気分を味わうポイントとして、①移動時間 ②日常とは違う文化を体験できる の2つの視点を押さえるエリアで穴場なのは、名古屋。東京から京都を訪れる方は多いですが、その間に位置する名古屋は、名前こそ知ってはいるものの、旅行先として選ぶ方はそんなに多くありません。
名古屋の味噌文化を味わう旅もいいし、繁華街の錦三丁目(通称きんさん)は、東京とはまた一味違う街です。さらにここから特急で2~3時間かけて三重県の伊勢志摩方面に足を伸ばすこともできます。皆さんの親や祖父母世代は『一生に一度はお伊勢さん』と言います。近年は、パワースポットとしても女性の間で人気が高まっているお伊勢参りですが、異なる世代が一緒に楽しむことのできる観光地と言えます。
また、伊勢志摩にはレジャー施設「スペイン村」も存在します。女友達と女子旅するなら、伊勢参りでパワーをチャージし、スペイン村で海外気分を味わう、なんてプランも可能です。地元民によると、このスペイン村はそんなに混雑していないそう。少なくとも、ゴールデン・ウィーク時期のニュースでよくやる、成田や羽田の出国カウンターほどの混雑はないでしょう。
知っている街を違う視点で見る、気軽な地元旅もアリ
話を本題に戻しましょう。ゴールデン・ウィークに海外に行きたいけど、チケットをまだ押さえていない、という方! 冒頭で、とんだハプニングが起こり得る可能性について知っていただけたと思いますが、そんな私は国内旅行をお勧めします。それも、国内は国内でも住んでいるエリアを観光する「地元旅」。
航空券の値段が吊り上がるのは、日本人の多くがゴールデン・ウィークでまとまった連休が取れるという背景があります。今でも十分に高騰しているのだから、これ以上航空券を購入したいニーズが高まれば、需要とのバランスはさらに崩れる一方です。
どうしてもゴールデン・ウィークしか休みが取れないから海外旅行に行きたいわけではないのなら、国内、それも普段住んでいる「地元」をテーマに観光してみてはいかがでしょうか。
東京に住みながらも、乗ったことはない人が多い「はとバス」は、実際に乗ってみると、自分の住んでいるエリアを、観光客側の視点で捉えることになるので新鮮です。また、路面バスとは違い、座席の高い位置から街を眺めるのも楽しい。普段は日常として通り過ぎる街並みに溶け込んでいた、興味深いお店など、隠れスポットがあるかもしれません。
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加谷珪一
経済評論家。仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。経済、ビジネス、マネー、政治、ITなどの分野で執筆を行っており、多くの媒体で連載を持つ。「加谷珪一の分かりやすい話」にて、お金から社会問題まで、日々情報を更新中。