名作、怪作そろい踏み!唯一無二の表現を磨いて人間の輪郭に光をあてる。広くて深い現代日本文学の海から編集部セレクトの小説と随筆を紹介。全32冊から今回はNo.4からNo.6の本をピックアップ。#GINZA編集部が32冊の現代日本文学をレコメンド
🎨CULTURE
GINZA編集部が32冊の現代日本文学をレコメンド vol.2|山内マリコ『あのこは貴族』etc.

4
『あのこは貴族』
山内マリコ
東京生まれの箱入り娘・華子と大学を中退して働く美紀。異なる世界に生息する2人が出会い物語が動き出す。恋愛、結婚、閉塞感。点と点をつなげ現代日本の姿を浮かび上がらせる作者の手つきが鮮やかだ。2021年2月、実写映画が公開予定。(集英社文庫/¥640)
5
『シンセミア』(上・下巻)
阿部和重
戦後日本の片隅の田舎町で勢力を伸ばしていった田宮家と麻生家。夏の日の事件を発端に、争いが、企みが、噂と狂乱が町を覆っていく。『ピストルズ』を経て最新小説『オーガ(ニ)ズム』へ至る「神町トリロジー」第一作。(講談社文庫/上 ¥980、下 ¥1,000)
6
『暗闇にレンズ』
(河井いづみ装画/鈴木久美装幀)
高山羽根子
《ひとつ目》が配されセキュリティが張り巡らされたトウキョウ、19世紀末の神戸と南アフリカ、20世紀初頭のパリ。舞台をさまざま変えながら、レンズに捉えられレンズを覗きこむ人々の姿と、虚実を交えた映像の歴史が記録される長編。(東京創元社/¥1,700)
Photo: Natsumi Kakuto Text: Mako Matsuoka Collage: Takashi Tanaka