映画は観たいけれど、劇場に行く暇がないという女性にはうれしい、時短映画『ハイヒール 〜こだわりが生んだおとぎ話』がまもなく公開される。上映時間はちょうど30分。前売り600円、当日だと800円という料金でスクリーンを前に映画が鑑賞できるという新たな劇場体験の提案でもある。舞台は、果てなき欲望によって世界が滅びそうになったとき、人間が欲望を捨てアンドロイドになることを選択した、もっと後の遠い未来。そこで一部のアンドロイドにエラーが起き、「欲望」が再び芽生えてしまう。「こだわり」「好奇心」「自由」という欲望が生まれたとき、人間らしさを取り戻したアンドロイドたちはいったい何を引き起こすのか、がテーマとなっている。
短編作品ながら、ジェンダーレスなアンドロイドの靴職人Kai役を菊地凛子が演じ、彼女の衣装はCHANELが協力。また、ハイヒールをMIHARA YASUHIROが制作協力していたり、オープニングアニメをMr. ChildrenのMV「花の匂い」などを手がけて知られる映像作家の半崎信朗が制作していたりと、錚々たる面々が顔をそろえる。こだわりを表す白いシャツを身にまとったKaiのもとに、靴を求めてくるアンドロイド役には、好奇心を表すイエローに女優の玄理、自由を表すレッドにモデルとしても活躍する谷口蘭、欲望そのものを表すブルーに若手女優の小島藤子が扮する。
監督・脚本を手がけるのは新人映像作家のイ・インチョル。日常から少し抜け出しても罪悪感を覚えることのない、贅沢な大人のダークファンタジーだ。
『ハイヒール 〜こだわりが生んだおとぎ話』(17)
4015年。真剣に靴を作り続けるアンドロイドの靴職人Kaiのもとに、「自分好みの靴を作りたい」というアンドロイドのイエローが訪ねてきて……。6月24日より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田ほかにて全国公開。
©菊池良助