「わたし産みましたわ」というタイトルにしたのだから、よし、妊娠と出産について書いてみます。これまで友人たちとの会話の中で、子どもは欲しいかという話になったとき、わたしはいつも歯切れのよい答えをだせないまま終わりがちでした。積極的に欲しい、とは思っていなかったものの、欲しくない、と断言するほどのはっきりとした意思もなく、本当にぜんぜんわからなかったし、いつまでも判断を先延ばしにしておきたかった。積極的に欲しいと思わなかった理由は、自分のネガティブなところが似たらかわいそうだなと思ったのと、子どもの頃なにかの本で見た胎児の写真が宇宙人のようでおそろしく、トラウマになっていることも絶対に関係あると思う。
だけれども、出産がほかのどんな問題ともちがうのは、自分の力ではどうにもならないフィジカルなタイムリミットがあるということですよね……。いつもいつまでも結論を先延ばしにしていたら(そうでなくても、タイミングによっては)いざ産みたいとなった時に、思うようにはすんなりといかないということは身近なところでも本当によく耳にします。でもね、だからといってね、ひとりの人間を無から登場させるのだよ……。簡単には決められない……。
で、まあずっとそんな感じだったのだけれど、二年前に外国へ行った時、マーケットでかわいい刺繍が入った子ども用のワンピースを見つけて「あ、これいつか娘が産まれたら着せたい」と思った自分を発見したのでした。(心の声A「えっ、あんた子ども産むつもりなの?」心の声B「いやいやそんな大げさな。軽い気持ちで言っただけだし」)。でも、考えてみれば、すでに結婚して一年ほど経って生活も落ち着き、夫もわたしもそれぞれ食うには困らない程度には安定した収入もある。はっと気づいてみれば、環境的な準備&受け入れ態勢は、もう整っているも同然なのだった。子どものことについて話し合ったことはなかったけれど、どうやら夫は欲しいと考えているよう。そう、あとはわたしの気持ちだけなのだったよ。ひえ〜。
仮に子どもが欲しいとなったとき(あくまで慎重)、自分が妊娠しにくい体質だった場合は、不妊治療についても視野に入れなければならない。なにかで読んだことによると、一年ぐらいたっても妊娠の兆候がない場合は治療を考えたほうがよいらしい(昔は二年だったのが早まったそう)。まずは体質を試すとして一年、そして不妊治療を受けることになった場合は、わからないけどそこから妊娠まで、さらに一年? いや、もっとかかるのかもしれない。いろいろ試してみて、やはりむずかしい、という判断になるかもしれない。なんにしても、あまりのんびりしてはいられなさそうだった。
頭で考えたところで、わからないものはやっぱりわからないままなのだが、ただ、どうなるのかなという好奇心はあった。そこで考えたベストな方法は、運にまかせてみようということだった。妊娠したらしたでいいし、しないならしないでいい。どっちにしても、楽しく過ごす。そんなふうに思っていたら、ある日、ぽっかりと、わたしは妊娠していたのだった。