成長に合わせて観ていたドラマは少なからず人格形成に影響を及ぼすと思うし、作品の神は細部に宿るものだと私は常に信じてきた。大筋や役柄というより、セリフだったり、部屋に置かれた物や食べ物、その当時の社会を映すラジオの音や風景の方が記憶に残り、現実と関係している気がしたからだ。そんな中、「ドラマの魅力はストーリーに回収されない細部にある」という視点から、放送局も年代も飛び越えた珠玉のドラマ史を振り返れる展示が早稲田大学演劇博物館で開催中だというので、さっそく足を運んだ。
企画展示室に入ると、各年代の映像が流れたブラウン管のテレビが置かれ、脚本や活躍した脚本家などの紹介文とともに展示されていて胸が高まる。ドラマの黎明期、黄金期、90年代の等身大恋愛の時代、2000年代の日常ドラマ、震災以後といった年代順に分けられたドラマ史は、最新の『カルテット』まで幅広いラインナップで綴られるのだが、きわめて主観的に選ばれているというところもまたいい。
『円盤来たる』(NHK、1959) 和田勉スクラップブック、表紙デザイン・ワダエミ 個人蔵
『七人の刑事』台本 TBS、1967 個人蔵
『カーネーション』台本 NHK、2011-12 個人蔵
ああ、あんなのもあった、あれもこれも入れてほしかった!と個人的ドラマ史を回想できるからだ。同時開催中の「早稲田大学芸術功労者顕彰記念 山田太一展」とあわせて観ると、一層タイムトラベル感を楽しめます!
『テレビの見る夢―大テレビドラマ博覧会』
会期: 〜8/6(日)
開館時間:10:00〜17:00(火・金19:00まで)
休館日: 7/19(水)
会場: 早稲田大学演劇博物館 企画展示室
*山田太一展は1階特別展示室にて開催中*
入場無料
www.waseda.jp/enpaku