フランシス・フォード・コッポラ監督夫人、エレノア・コッポラが撮影当時80歳にして長編監督デビュー。
映画界にその名を轟かせ続けるコッポラ・ファミリーを支える母でありながら、自身もドキュメンタリー監督としてエミー賞を受賞したり、ノン・フィクション本の執筆もするなど、独自のキャリアも築いてきたエレノア・コッポラ。彼女が人生で初めて長編を撮ったのは、なんと80歳のとき(現在81歳)。アカデミー賞を獲った人が家にいるから、脚本を書くのが怖かったという理由は確かに大いに納得する。だが、一方で当初妻の映画製作には乗り気でなかったフランシスが資金集めに困っていた彼女を見かねてサポートしてくれたというのは、映画一家ならではのいい話である。
物語は、人生の一区切りを迎えたダイアン・レイン扮する主人公アンが、プロデューサーの夫の仕事仲間ジャックとカンヌからパリへと向かう2人旅を描いたもの。自身が夫以外の男性とフランスを旅した経験などが土台になっているというだけあって、映画業界の妻や母という役を肩からおろした1人の女性としての喜びと戸惑いがみずみずしく伝わる。やっぱり、実際、エレノアがパリへとドライブする道中に聴いていたのも、本編と同じく、娘婿バンドPhoenixだったんですかね?