なぜ、一度も話したこともないアイドルに恋をするのか…。 ヲタ代表のみきーるさんと、心理カウンセラーの塚越友子さんが分析。
すばらしきかな、ヲタ活動。 「 どうしてイケメンに落ちちゃうの?」ヲタ代表のみきーるさんと、心理カウンセラーの塚越友子さんに分析してもらいました

恋する対象としてのアイドルは、 アイデンティティへと変化する
「アイドルを好きになるときに働くのはまず、“投影”という心理です。これは、自分の理想の男性イメージを好きになるというもので、リアルな恋愛も同じなんですね。ただ、現実界の相手は、なかなか自分の思い通りにはいかないもの。その点、アイドルはイメージを崩さず、嫌いになる機会がない。しかも、自分のダメなところを見られて幻滅されることもなく、理想を描いたままでいられるため、恋する相手としては、すごく楽なんですね。スキャンダルが出ると冷めるのも、自分のファンタジーが壊されて、脱価値化が起こるからです。また、最初は1人のメンバーだけを好きだったのに、グループそのものまで愛してしまうのは、アイドル集団のなかに自分の居場所を見つける“集団同一視”という心理によるもの。これが働くと、居場所にどんどん愛着心が湧き、最終的には“アイドル=アイデンティティ”へと変化。つまり、アイドルを好きになることは、自己愛でもあり、“ファンをやめる=自分を失うこと”になる。なので、ヲタクをやめるのは難しいんです。ただ、相手がアイドルであっても、恋をすると心を癒すホルモンであるオキシトシンが分泌され、精神的健康を守ることができます。度を超えないレベルであれば、ヲタ活動は心理的にいいものと言えるでしょう」
塚越友子さん
つかこし・ともこ≫ 心理カウンセラー。女性専用のカウンセリングルーム「東京中央カウンセリング」を主宰。雑誌やテレビなどのメディアで活躍中。『銀座No.1ホステスの大切な恋の続け方』(だいわ文庫)、『モテる男の即効フレーズ』(講談社)など著作多数。
“恋っぽいもの”を求める女子は ときめきをくれるアイドルが大好物
「アイドルに落ちる瞬間というのは、たとえるならば、心の琴線に触れられて、“あれ?”と思った瞬間にバララララッとかき鳴らされてしまう感じでしょうか。彼らは人を恋愛道に突き落とすプロフェッショナルですから、一般男性よりも、ずっとそつなく、カメレオンの舌のように女性を絡めとります。“アイドル相手に本気になるなんて…”という人もいますが、“恋愛”がお互いに思いを交わし合うものだとすれば、“恋”は極めてパーソナルな心の動きであり、一方的に想い焦がれる事態が発生しても、何ら不思議ではありませんよね。恋する相手にほかの女性との熱愛報道が出て不快に感じるのも、ごく自然な心の動きではないでしょうか。彼氏や夫がいてもヲタ活動をやめないのは、“それはそれ”という別腹だから。それに、たかが彼氏や夫がいたくらいで見逃してくれるほど、彼らの魅力は甘くありません。また、得てして男性は“恋っぽいものが苦手”な場合が多く、釣った魚に餌をやらない、ということもしばしば。これに対して女性は、小学生の頃から“恋っぽいもの”を愛し、変化やときめきが好きな生き物。そんな“好きなもの”を、自然に求めてしまうんだと思います」
みきーるさん
ライター・編集者。ジャニヲタ・エバンジェリスト。ジャニーズ応援歴は四半世紀以上に及ぶ。『ひみつのジャニヲタ』『ジャニヲタあるある+』など著作多数で、最新刊は『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(すべて青春出版社)。ウェブサイト「女子SPA!」で「みきーるのJ-ウォッチ」を連載中。
Illustration: Michihiro Hori
Text&Edit: Sachiko Ikeda