バカみたいに恋したあの人から、心が離れる日が来るなんて…。 すべてをかけたヲタ活動からの 卒業とは、一体どういうもの? 経験者2人に話を聞きました。
すべてをかけたヲタ活動からの卒業とは 「 担当にさよならを告げる時…」経験者二人に聞きました
34歳の会社員であるA子さんの卒業は、ヲタ歴10年目のこと。「担当の出演番組は欠かさずリアルタイム視聴&録画していたのに、ツイッターのタイムラインでオンエアされていることを知ったり、同じグループを追いかけているヲタ仲間と話しているときに、私だけ知らない担当の情報が多かったりすることが増えました。そういうことがあると、以前なら、“私のほうが好きなのに!”とモヤモヤしていたのに、それもなし。そうして徐々に、興味が失われていきました。とはいえ、きっかけは明確で、あるライブで浮かない顔をしている担当を見たことです。その瞬間、“何かあったの?” という不安が沸き起こると同時に、笑顔をもらう存在であるアイドルから不安をもらったことに、がっかりしていたのです。その後、恋人ができ“担当よりも彼がいい” という想いが芽生え、それでは失礼だと思い卒業しました。でも、ほかに好きな人ができたのも、彼への興味が失われたから。 アイドルも人間だからしょうがないのですが、私の場合、プロ意識こそが、恋の原動力だったみたいです」
CASE:2
「8年前、担当を好きになってから人生が一変。何よりも最優先にして必死で追いかけ続けました」と話すのは、30歳のフリーター、Mさん。「私は好きな人のことは全部知りたいと思うタイプゆえ、できる限り多くの現場に入るために遠征をするし、 出演するテレビやラジオ、掲載されている雑誌はすべて押さえる。さらに嫉妬深いため、担当がほかの人にファンサをしたり、ドラマで女優さんと共演をしたら心を痛める…という日々を繰り返していました。そんな生活を長年続けていたある日、突 然、糸がプツっと切れました。妬みやすく、お金をつぎこんでしまう自分に、疲れてしまったのです。担当はなーーーんにも悪くありません。ただ、追いかけなければ気が済まない、自分の性格が原因です。そこで、自ら距離をとる道を選びました。意 外なまでに辛かったのは、ヲタ仲間に卒業を告げること。一緒に応援し、遠征をしてきた彼女たちを裏切った気持ちになり、正座をして号泣しながら伝えると、“謝ることじゃない!”と、泣きながら励ましてくれました。ヲタ卒した今も仲良くしています」
Illustration: Michihiro Hori
Text&Edit: Sachiko Ikeda