砂漠を乗り越えて日本に帰国した乃木憂助(堺雅人)と野崎守(阿部寛)。ともに誤送金事件の真相に迫りますが……。日曜劇場『VIVANT』(TBS日曜夜9時〜)3話 を、ドラマを愛するライター釣木文恵と漫画家オカヤイヅミが振り返ります。2話のレビューはコチラ。
考察『VIVANT』前半と後半で別のドラマ!? 3話
芝居ができるラクダが存在した!気になる「F」の出現ルール
考察『VIVANT』3話
過酷な砂漠シーンで
演技をするラクダ!?
『VIVANT』3話は前半と後半で違うドラマかと見まがうような展開が繰り広げられた。日曜劇場の、いやドラマの、もっといえばテレビのキメラ。『VIVANT』の中ではもう、何が起きても不思議ではない。思いがけずほんのりと恋愛要素も入ってきているし。ドラマを勝手にカテゴリ分けして、全てをそこに当てはめて見ていた無意味さに気づく。
前半は「死の砂漠」をまさに死と隣り合わせの状況で乗り越えていくようすが描かれた。気付かぬうちにラクダから落ちていた柚木薫(二階堂ふみ)を探しに果てしない道のりを戻る乃木憂助(堺雅人)。8時間の制限を設けて待つ野崎守(阿部寛)。”もう一人の自分”との対話を続けながら薫を探す乃木。なんとか薫は見つかったものの、無理をさせたラクダが歩みを止めてしまう。
制作スタッフのSNSによれば、原作・演出の福澤克雄は台本に「芝居ができるラクダが必要」と記していた。
とんでもない要求だが、3話を見ればわかる。芝居ができるラクダが存在するということが! 彼らの演技は作品にリアリティをもたらした。ラクダとの別れを惜しむシーンがしっかり入っていたのもよかった。
苦労して広大な砂漠を抜けた先には、もう視聴者にはおなじみのバルカ警察・チンギス(Barslkhagva Batbold)が待ち構えていた。とうとう逮捕、かと思いきや国境の向こうからモンゴルの軍隊がやってくる。スケールの大きな、国と国の戦い。日本にいるとあまり意識しない、国境という線の強固さ。野崎の部下、新庄(竜星涼)の機転で乃木らは無事日本へ帰れることに。
ようやくほっとしたが、一方でこの景色をもう堪能できないのかと残念な気持ちにもなった。とはいえ、バルカの謎の父子(役所広司、二宮和也)の存在もあるし、また舞台がバルカに戻ることもあるのかもしれない。
Edit: Yukiko Arai