グラフィックデザイナーの永井一正と、その息子であるアートディレクターの永井一史。2024年4月18日(木)から5月12日(日)まで、異なるアプローチでデザイン分野を切り開いてきた二人による展示『LIFEとlife』が「OFS GALLERY」にて開催される。
永井一正と永井一史が初の二人展
デザイナー親子が「いのち」をテーマにそれぞれの創作を見せる
「昔、田中一光氏から親子企画をやりたいという打診があったのだが、自分に実績もなく断ったことがずっと心に残っていた。長くLIFEシリーズを見てきて、自分だったらどう表現するだろうと思った」
デザイン界が大注目する二人展開催の経緯について、永井一史はこう語る。父・一正は、田中一光らとともに1960年の日本デザインセンター創設に関わったグラフィックデザイナー。企業マークやポスターなどを多数手がけ、80年代後半からは具象的なグラフィック、それから銅版画へと活動のフィールドを移している。いっぽう一史は、広告会社を経てアートディレクションやブランディングの分野で活躍。具象的な創作というよりも、"概念のデザイン"に面白さを見出してきたクリエイターだ。
LIFEシリーズは、一正が40年以上にわたって取り組んできたポスター。動植物を描いた一連の作品には生命というものの不思議な魅力が溢れていて、どんなにグラフィカルなアプローチの中にも、生き物たちの躍動が感じられる。二人展『LIFEとlife』では、一正のライフワークとも言えるこのシリーズに着想を得て、「いのち」という共通テーマでそれぞれにポスターや映像を制作した。デザインの世界に異なるかたちで立ち、解釈を広げてきた永井一正・一史親子の初めての共同展覧会である。
会場には、新作ポスターのほかに映像作品や、二人の対話テキストなども展示。そこでの考察は、一正と一史の相違点や共通点だけでなく、親子の関係性へも及ぶ。昭和デザイン史はもちろん、まったく異なる(でもどこかで繋がっている)二つのクリエイター像にも触れられる貴重な場だ。
4月22日(月)には、現在日本デザインセンターの社長である原研哉と一史のトークセッション(*店内閲覧の受付は終了)が「OFS.TOKYO」のインスタグラムでライブ配信される。永井一正をある意味最も近くで見てきたデザイナーに、息子であり一人のクリエイターである一史が質問を重ねていく。
会場では、展示の新作ポスター(原寸)、一正の過去作品のポスターも販売も行われる。
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永井一正
1929年大阪生まれ。グラフィックデザイナー、日本デザインセンター最高顧問、公益社団法人日本グラフィックデザイン協会最高顧問。東京藝術大学彫刻科中退。札幌冬季オリンピック、沖縄海洋博、JA、アサヒビールなどのマークやCI、ポスターを手がける。1980年代後半より動植物を題材としたLIFEシリーズを制作し始める。ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ金賞、ブルの国際グラフィックビエンナーレグランプリなど海外でも高い評価を得る。作品は東京国立近代美術館、富山県立近代美術館、メトロポリタン美術館をはじめ、20ヶ国以上の美術館に所蔵。
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永井一史
1961年東京生まれ。アートディレクター、HAKUHODO DESIGN代表取締役社長、多摩美術大学教授。多摩美術大学美術学部卒業後に博報堂に入社し、2003年にデザインによるブランディングを行う会社HAKUHODO DESIGNを設立。企業や行政の経営改革支援や、事業や商品のブランディングやプロジェクトデザインに携わる。ADC賞グランプリ、毎日デザイン賞など受賞多数。代表作は「ヘルプマーク」やサントリー伊右衛門、森ビルなど。2015年より東京都の「東京ブランド」クリエイティブディレクターを務める。
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【『LIFEとlife』永井一正と永井一史の二人展】
会期_2024 年4 月18 日(木) ~ 5 月12 日(日)
会場_OFS GALLERY
住所_東京都世田谷区池尻3-7-3 OFS.TOKYO内
Tel_03-6677-0575
時間_12:00〜20:00
*入場無料
*火水休廊
Text_Motoko KUROKI