アメリカのテレビ業界における最高の栄誉、エミー賞。史上最多の18冠を達成したワケを分析してみました。
🎨CULTURE
なぜアメリカで『SHOGUN 将軍』旋風が巻き起こったのか?
ホットなニュースをさらに深堀り!vol.1
1975年に原作小説を発表したジェームズ・クラヴェルは、邦訳の出版に際してこう序文を寄せた。
「ガイジンがガイジンのために書いた小説です。とはいえ、この人たちは驚くほど日本について無知であり、(中略)日本の姿を初めて見る機会をもってもらおうと思ったのが『将軍』です(原文ママ)」
名将、虎永。船で日本に流れ着いたジョン。通訳の女性、鞠子。3人の運命を綴った小説は世界的ベストセラーを記録し、1980年にアメリカでドラマ化が実現。ジョンの目線で日本を未知の国として描き、大ヒットを収めた。やがて今回の『SHOGUN 将軍』の企画が浮上。制作したFXは、2億5000万ドルに及ぶと噂される膨大な予算を投じた。
ショーランナーは、ジャスティン・マークス(『トップガン マーヴェリック』原案!)&レイチェル・コンドウ夫妻。二人は原作に惚れ込み、日本人の視点を重視することに。早い段階で歴史家フレデリック・クレインスに意見を求めた。切腹の概念から遊女の装いまで細かい指摘があったそう。現場では主演兼プロデューサーの真田広之のすすめで、経験豊富な日本人スタッフが衣装小道具や所作指導を行うなど質を追求。近年アメリカの視聴者が急速に字幕版を受け入れるようになった背景もあり、丹念につくられた日本語7割の戦国スペクタクルは熱狂的に迎えられた。すでにシーズン2&3も決定している。
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Text_Milli Kawaguchi