美術館やギャラリーで名画を眺めるのもいいけれど、 新しいコートやニットをワードローブに加えるように、 アートを所有してみるというのも、なかなか素敵なこと。 7人の女性に聞いた、大切な作品のストーリー。
🎨CULTURE
井伊百合子さん(スタイリスト)のお気に入りは「今井麗のペインティング」レディの私物アートたち Vol.2

今井麗のペインティング
淡い色彩で描くのは、日常の中にありふれたモチーフ。誰かの古いアルバムを覗き見ているような、ノスタルジックな味わいがある。作品集『gathering』が発売中。
自分の空間にふっとなじんで、 心を穏やかにしてくれるもの。
私の居場所に自然となじんで、それがあることによって心が穏やかになる。そういうものを集めるのが、昔から好きなんです。アートに限らず、拾ってきた石や国内外の青空市で買ったものなんかもありますが、すべて手に入れたときの物語がある宝物。出会ったその時の感覚を大切にしているので、名前を知らないアーティストの作品を手に入れることの方が多いです。
私の師匠は玄関の雑然と並べられた靴と一緒に写真家の作品を飾っていたのですが、アートを崇めるのではなく、彼女の生活の一部として共存させるようなあり方に憧れていました。アートをその他のものと共鳴させるように並べているのはその影響からです。
今井麗さんのエッグトーストの絵は、7年前にクリスマスプレゼントとしていただいたもの。実はこれは、プレゼントのために新たに描いてもらった作品で、中のテーブルやお皿は、実際に私が持っているものがモデルになっているんです。彼女は日常の生活の中にあるモチーフを描くことが多いのですが、そこにある少しの可笑しみがとても気に入っています。
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スタイリスト <br /> 井伊百合子さん
東京生まれ。ソニア パーク氏に師事。本誌の他、カタログ、広告などを手がける。
Photo: Masahiro Sambe Text: Keisuke Kagiwada