美術館やギャラリーで名画を眺めるのもいいけれど、 新しいコートやニットをワードローブに加えるように、 アートを所有してみるというのも、なかなか素敵なこと。 7人の女性に聞いた、大切な作品のストーリー。
🎨CULTURE
東野翠れんさん(写真・文筆家)のお気に入りは「山田愛子のオブジェ」 レディの私物アートVol.7

山田愛子のオブジェ
[無題](2014年)
千日紅の花びらを絹糸で連ねたリング。リビングの天井からつるしているそう。「買った時、作家の美しい感性を家に持ち帰れる喜びがありました」(東野さん)。
アートのある空間ごと感じて、 愛でる楽しみ。
白く綴られているのは本物の花びら。1枚1枚丁寧に糸を通して輪にした山田愛子さんの作品です。生の花の美しさはこんなふうに残せるんだと新鮮だったし、その感性が美しいと思いました。家では天井からぶら下げていますが、繊細な作品で、忙しいと存在を忘れてしまうこともあります。でも、ふと目に入ると、道端に一輪の花を見つけたみたいに、大切なものを取り戻した感覚になる。生活の延長に誰かの素敵な感性があると、日々が豊かになりますよね。
家には他に、版画などを置いています。父が古物商で版画を熱心に集めているので、実家から自宅の空間に合いそうなものを借りています。実際に置いてみて、しっくりこなかったら取り換えたり。借りると、返せるのが得です(笑)。そう考えると、モノとしてだけで判断していないのかも。すごく好きな服でも、実際着ると似合わないことってあります。それと似ていて、その作品を置く空間と一体になれるかを初めに考えることが増えました。それは展示空間を作る時も同じ。その空間に入り込んで、空間ごと自分の身体にしていくように、フィジカルに感じられることを大切にしています。
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写真家、文筆家<br /> 東野翠れん
写真家、文筆家。9月に原宿VACANTで行われた個展が巡回される予定。
Photo: Suiren Higashino Text: Satoko Shibahara