美術館やギャラリーで名画を眺めるのもいいけれど、 新しいコートやニットをワードローブに加えるように、 アートを所有してみるというのも、なかなか素敵なこと。 7人の女性に聞いた、大切な作品のストーリー。
平田信絵さん(PONTIデザイナー)のお気に入りは「沖真秀のペインティング etc.」 レディの私物アートVol.3

沖真秀の ペインティングと
ジョナサン・エレリーのアートブック
沖真秀は、国内外のポップカルチャーから引用したモチーフを、愛らしくも毒々しいタッチで描く新進気鋭の作家。音楽関係のジャケットやマーチャンにもアートワークを提供するなど、その活動は多岐にわたる。ジョナサン・エレリーは、ミニマムでインダストリアルな作品世界を追求する、イギリスのアーティスト。
アートを集めるようになったのは30代に入ってから。それは自分の好きなものがなんとなく固まってきて、近くに置いておきたいなと思うものがわかってきたからだと思います。今回紹介するものも統一感があるのか客観的にはわかりませんが、それも含めて自分らしいかなという気はします。
沖真秀さんは、たまたま手にとった彼の個展のフライヤーが気になって行ったら、ポップなんだけどシュールな世界観に惹かれて。この作品は、バービーとケンというモチーフや〝Play with me?〟という言葉にグッときて、年をとっても近くに置いておきたい絵だなと直感したので購入を決めました。ジョナサン・エレリーのアートブックは「ユトレヒト」で買いました。2冊とも小さい丸や四角が大きくなってまた小さくなるというシンプルなものなんですが、見ていると無心になれるし、そのときどきのテンションで捉え方が変わってくるのが面白いなと思って。
どちらもデザインやアイデアに煮詰まったときなどにふと見て、「私はこういうのが好きなんだ」と思ったりします。直接的に引用したりはしませんが、無意識のうちにインスピレーションを受けているかもしれませんね。
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PONTIデザイナー<br /> 平田信絵
アパレル会社・コレクションブランドを経て2014年に〈PONTI〉を開始。
Photo: Tomo Ishiwatari Text: Keisuke Kagiwada