私服でもメンズを愛用しているスタイリストの山本マナさんと飯島朋子さん、そして、男性ならではの視点で女性をスタイリングする服部昌孝さんという個性あふれる3名にインタビュー。それぞれの話をベースに、ギンザの新しい偏愛的スタイルを考察し、AからZまでまとめてみました。今回は服部昌孝さんの「A」を紹介。#新しいメンズスタイル
服部昌孝「クラシックスタイルを大胆に取り入れてみる」|新しいメンズスタイル AtoZ【ASK】

【スタイリストに訊いてみた】
ASK
独自の視点でメンズファッションをとらえる3名のスタイリストたち。それぞれが考えるメンズアイテムの取り入れ方とは?まずはプロに意見を訊き、今の傾向を探ってみた。
服部昌孝さん
「クラシックスタイルを大胆に取り入れてみる」
自分は女性ではないから正確にはわからないんですけれど、自分なりに女性が着ていたらドキッとするだろうなっていうポイントはあるかもしれないですね。テーラードの使い方とかシルエットとか。着こなしのなかにメンズ特有のクラシックはどこかに絶対入っていてほしいです。あえて老舗ブランドを取り入れてみるとか。特に足元は顕著に現れると思います。
やっぱりおしゃれは足元からって基本じゃないですか。スニーカーもいいですけれど、革靴ですよ! 合わせるなら老舗のレザーシューズブランドであってほしいです。〈オールデン〉や〈クロケット&ジョーンズ〉、〈ジェイエムウエストン〉、そして〈パラブーツ〉。こういうものを女性がはくと面白いスタイリングになると思います。ファッションブランドが出しているローファーじゃなくって、〈ジェイエムウエストン〉のローファー やゴルフとかだったら、すごいグッと来ちゃいますよ。〈パラブーツ〉の毛皮のシューズなんてはいていたら思わず、おお!ってなりません? 完全に男性目線の意見ですけれど。
足元でいうと、女性的なスタイリングに白いリブソックスで黒の 〈コンバース〉オールスターの合わせが好きなんです。スタイリングだったらわかりやすいハイカットを持ってきますが、個人的にはローカット! パンツやスカートとの間に生まれるちょっとした隙間がポイントです。その隙間の埋め方に個性がでるんですよね。ヒールシューズにソックスの合わせもいいですけど、その場合は薄手のソックスで上品に。僕は、すべてにおいて品があることが大前提です。
メンズクラシックって当然、メンズのために作られているアイテムなんですけれど、それを女性が身につけるのもありだと思うんです。ロングホーズソックスなんかもそのひとつ。これって男の嗜み的なアイテムだからカチッとするならレザーシューズだし、スニーカーにだって意外と合うんですよ。カジュアルダウンしてもやっぱり上品に仕上がりますからね。なにより女性がはいていたら絶対可愛いです。
また、肌の見せ方で人の印象って大きく変わってきます。メンズでも首回りが広く開いていれば艶っぽくなりますし、女性も鎖骨が見えれば当然セクシーになります。裾から肌が見えるのはなんか違うなって思って、ロングホーズソックスでいつもつぶしちゃうんですけれど。首元のVゾーンもそうなんですが、インナーに合わせるなら、ボディブランド(プリントTのベースになるブランドのこと)のネックが詰まった白Tを差し込みますね。前から言っていますが、お気に入りは〈プロクラブ〉のヘヴィオンスTです。Vゾーンを詰めても白なら抜け感はキープできますのでおすすめですよ。
今は、メンズでもレースやシースルーみたいなアイテムが増えていますよね。2020秋冬コレクションの〈ルイ・ヴィトン〉もフリル使いが印象的でした。個人的には〈ドリス ヴァン ノッテン〉は、メンズ要素とレディス要素のバランスが抜群にうまいと思います。ライダースにフェイクファーをあしらったブルゾンを今季買いましたけど、このブランドのテーラリングの感じやウエストマーク使いはレディスでもいけると思いますね。
ドメスティックブランドでも〈ベッドフォード〉や〈ジョン ローレンス サリバン〉のメンズデザイナーもレディスのコレクションをすごい研究しています。メンズに対してレディスのニュアンスが増えているけれど、もうまったく嫌じゃないですよね。〈ロエベ〉でもありましたけど、スカートなんかも当たり前だし。お店に行ってもこれってメンズですか、レディスですか?って聞くような時代じゃないですか。もはやジェンダーレスです。メンズを着たいってことはカッコいい女性になりたい人が多くなったんだなって思ってなんだかうれしいですね。
🗣️
服部昌孝
静岡県生まれ。2012年に独立。〈シックストックス〉とコラボで、ロングホーズソックスを制作。レディスもあり。