はじめまして!ライターの工藤キキです。実はライターデビューはポパイ編集部、で90年 代はポパイをはじめマガジンハウスのお仕事をしていましたが、00年代からは河出書房新社 で小説書いてみたり、非アカデミックなアートレビューをはじめとしたサブカルチャーに関することを様々な媒体で書く機会を頂いてきました。で、3・11直後に人生の大転換期を思い立ち、生まれて初めての大きな引っ越しをしたのが2011年のハロウィン。東京を離れ、新天地ニューヨークでの生活は言語も環境もすべてがひっくり返えり、未だに地に足がついてないよーな気分のまま、もうすぐ6年目。英語もままならないが日本語も忘れかけている、という浦島タロウ化も進んでますが、新しい友達に支えられてなんとか生きてますー。
今回ギンザ読者にご紹介したいのが、<エブリバディ> という友人 のアイリス・アロンゾとキャロリナ・クレスポがスタートしたクロージング&ライフスタイル グッズカンパニー。二人とも元アメリカンアパレルのクリエイティブディレクターだった、とゆーかオープン時から働いてきた彼女たちが”アメアパ”の世界観を作ったといっても過言ではないー今では定番のスパンデックス、ボディスーツにハイウエスト、ニーハイソックス、80 年代のエアロビの先生にチアガール、ディスコチックスを00年代に蘇らせ、胸元は見せたがるのになぜか乳首だけはがっつり隠すという敬虔なアメリカンガールズに向けてフリースピリットと共に乳首がちゃんとあるマネキンを作ったのも彼女たち。
そんなわけで、まずはアイリスとの出会いについてちょっと触れておくと、ニューヨークに来てからたくさんの人に出会ったけど、アメリカの賢いキャリアウーマンってのはこういう人のことをいうのね、と感心したのが彼女のことだ。来た頃に住んでいたローワーイーストサイドで何の気なしに友だちに誘われて行ったルーフトップパーティーで偶然出会い、こちらではお馴染みの流れで「東京から来た」といえば「YONE(フォトグラファーの米原康正氏)知ってるか?」で話は盛り上がり、彼女は私が東京でライターの端くれだったなんて知らないまま「アメリカンアパレルでやりたいプロジェクトがあるんだけど手伝ってほしいな、ミーティン グしない、、明日?!」と連絡先を交換した。こんなラフな流れはニューヨークだとよくある話だけど大抵が酒の席の話。けどアイリスは翌日連絡をよこし本当にミーティングすることになった。ちなみに家に帰ってから、もらったビジネスカードに書いてある彼女の名前を検索してみるとアメアパのウィキペディアにクリエイティブディレクターとして彼女の名前があり、 驚いた。だって、この時点で私のことは東京から来たばっかでたまにバーでDJしてる子って程度しか知らないのにね。
付き合いはそこからスタートし、アイリスは普段はLA在住だけど彼女がNYに来るときは必 ず連絡をくれるようになり、愉快にハングアウトしてる横で大量のメールをバッタバッタとさばくアイリスは私にとって初めての出会ったクールなアメリカン・ウーマンだ(彼女はメキシコとのハーフだけど)。ちょうど私がLAにいたときに、アメアパの騒動が起きてこの時はいつもオーライな彼女も血相を変えて大変そうだった。結局は企業乗っ取りにあったみたいでオリジ ナルのスタッフ全員が解雇され、同時に製造業者たちも一緒に職を失うことになった。
ファーックといえど泣き寝入りしないのがアメリカン・ウーマンだ。解散後1年で、アイリス とアメアパ1号店から働いていた同じくクリエイティブディレクターのキャロリナで新しいプ ロジェクトを立ち上げた。それが<エブリバディ>。Tシャツから財布、靴からペットグッズといったありとあらゆる商品を企画してきたアメアパだけに、多種多様な製造業者を知るふたりが、再び彼らと一緒に仕事ができるようにと “Workers” “Ecologys” “Ideas”を軸としたプラットフォームをスタートしたのだ。
( ファウンダーのCarolina Crespo と Iris Alonzo )
新しいタイプのファッションブランド、いや”ライフスタイルブランド”と言ったほうがしっ くりくるかも。彼女たちが目指しているのはシーズンごとのファッショントレンドではなく、 彼女たちの周りにいる自然体に生きる人々や、カルチャーやヒストリー、サイエンスといった絶え間ない好奇心からインスピレーションを受け、今私たちに必要なものは何かとサスティナブルなクリエイションを目指している。
<エブリバディ>の顔ともいうべき“トラッシュティ”は、長年アメアパでTシャツ製造に関わっ てきた彼女たちだからこそのアイディアで、リサイクルコットンの製造の過程でフロアーにこぼれ落ち、ゴミとして掃いて捨てられていたコットンを拾い集めたものがベースになったT シャツだ。アメアパでは定番のものに絶妙なサイジングを足したり削ったものをデザインの ベースにしてきた彼女たちだけど、<エブリバディ>の“トラッシュティ”もTシャツの丈や腕に首周りの開き方など、多くの人に似合うようなサイジングを研究している。そういえば、4月にLAに行った時、キャロリナのメキシカンマムが腕を振るうリアルメキシカンファミリーランチに招待してもらった時、アイリスとキャロリナは夢中になって兄弟や親戚のボディサイズを計っていた。標準サイズとはいかに? 千差万別の体型を持つエブリバディ全員に映えるサイジングはなかなか奥が深い。
(リサイクルコットンの製綿の過程に機械からはじきだされた綿を拾ってつくられている)
そしてもうひとつのメインのプロジェクトが、彼女たちのユニークな友だちとのコラボレー ションだ。いわゆるファッションデザイナーではなくても、ファッション業界にいなくても「こんなジャケットがあったらいいな」とか、こだわりのポイントやユニークなアイディアを密かに抱えているアーティストやシェフやライター、建築家にダンサーなどなど、彼女たちの周りにいる、ある意味”非ファッション業界”のリアルな人々の暮らしから生まれたグッドアイディアをプロデュースするといったもの。
(アイリスとわたし。いろいろ悩んだあげく、私は白いジャンプスーツをゲット。ちなみに特注カラーもオーダーできます)
ランドスケープ建築家のマーゴとエドはこだわりのジャンプスーツとポンチョを作り、パ フォーマーのメイは痒いところに手が届いちゃうような絶妙のポケットがついたジャケット、 アフリカンアートコレクターであり超セレブリティのジャン・ビゴージはアフリカンファブリックで巨大な蛇の”ハングリースネーク”ピローを。
Jean Pigozzi “Hungry Snake” Pillow
そして実は私もコントリビューターのひとりとしてアメリカ女子の日本でいうところの”冠婚 葬祭着”と言っても過言ではない!”リトルブラックドレス”をユニークな女の子に向けに作ったのでした。つか見回す限りアメリカの女の子の基本姿勢は’セクシー’であるかどうかで(ちなみにびっくりなことにアメリカ男子でベリーショートとかジェーンバーキンの魅力が分かる人は非常にまれ)、ショッピングモールに入っているどのブランドでも必ずリトルブラックドレスを作っているが主にセクシー路線。そんなわけで自分みたいな(?)と言ったらなんだけど、サバーブのショッピングモールのカルチャーじゃ物足りないナードガールズに向けてデザインしたのがこのサークルドレス。Tシャツとかタートルとかで重ね着もできるし、タイツにソックス、なま足、スリッポンからヒールまで色んなスタイルを楽しんで頂けたら:)
(2月にNYであったポップアップストアにて。なんと私か描いたサークルガールズのイラスト が等身大に!)
(サイズはXS−XXLまで取り揃えおりますー。いろんなタイプの人に着てもらいたいです!)
(しかもタグには私の名前入り。。。なんか嬉しいなあ。)
(Model は 友人の帽子デザイナーのDani Griffiths From Clyde。Beautiful ! )
そんなわけで、長くなりましたが今後もさまざまなプロジェクトが進行中の<エブリバディ>の行方をチェックして頂けたらうれしいです! よろしくお願いしますー!