2022年、創業125周年を迎えた〈グローブ・トロッター〉から、節目を祝うスペシャルエディションのスーツケースが発売された。CEOヴィセンテ・カステラーノ氏からのコメントともに、スペシャルなアイテムの魅力をお届け。
〈グローブ・トロッター〉が125周年。歴史を振り返り愛おしむスーツケース2型を限定発売

英国デザインの代名詞、憧れのスーツケースブランド。初めての海外出張も、〈グローブ・トロッター〉に助けてもらった。クラシカルで、でもモダンで、持っているとどんなに慌ただしい旅程でもすっと背筋が伸びるような。
1897年に生まれた〈グローブ・トロッター〉は、人がどんどん国境を超えていくようになる時代の変遷をずっと支えてきた。ヴィクトリア朝に遡るオリジナルの製造方法に基づき、すべてイギリスで作られる。端正な佇まいはまさに英国紳士のそれに通じていて、21世紀の今も、旅慣れたトラベラーたちに寄り添い続けている。
CEOのヴィセンテ・カステラーノ氏は、〈グローブ・トロッター〉を際立たせる理由をこう語る。「一目でわかる(distinctive)ことでしょうか。デザインが唯一無二なので、他のラゲージブランドとなかなか比べられないですし、ブランディングの必要があまりないというか。つまり、ロゴいらずで、〈グローブ・トロッター〉のスーツケースだとすぐわかる。それって、とてもレアなことですよね 」。
125周年を記念するスペシャルエディションは、レザーカバーのキャリーオンケース。クラフトマンシップとヘリテージというブランドの真髄が、純粋な姿で表現されている。創業以来象徴的存在となっている初期のデザインに、現代の都市型旅行に適した2ホイールと4ホイールのバーションも加えて。カラーは、アーカイブから選ばれたヘリテージブラウンとヘリテージネイビーの2色だ。
ライニングとレザーには、伝統的なものづくりを続ける2社の上質な素材を採用。ただ、型自体は定番のものだ。「アニバーサリーイヤーには、全く新しいものよりも、伝統を祝うコレクションを作りたかった。だから定番型を選び、他の型と同じように全てハンドメイドで製作。特別な素材を使っていますが、あくまでもスタンダードなトランクなのです」(カステラーノ氏)。
Gainsborough社に特注したシルクジャガードが、開いた時のときめきを増す。Muirhead社のレザーは、究極のシックネスでケースを包み込む。伝統技術を誇る3社が、実直に、丹念にコラボレーションしたのが、今回のスペシャルエディションなのだ。
「ブランドの125年もの歴史の中で、『旅を愛する人たちに向けて、最も美しいプロダクトを作ろうという精神』はずっと変わっていません。安価な選択肢に走ることなく、クラフトマンシップを大切にする。いっぽうプロダクトの種類は時代や旅のあり方の変化に伴い、増えていっています。例えば、小さいサイズのトランクも出したり。」(カステラーノ氏)。どんな場面にも寄り添う、ロマンティックで、とことんクラッシーなラゲージ。〈グローブ・トロッター〉自身の旅もまだまだ続く。