2023年12月2日(土)、〈バレンシアガ/BALENCIAGA〉がロサンゼルスでショーを開催。ハリウッド文化やアメリカのユースカルチャーが引用され、日常からイヴニングまでのドレスコードが揃った。新作スニーカーやグロッサリーストア「エレワン」とのコラボレーション商品も登場し、ときめきが止まらない!
〈バレンシアガ〉がLAで初のランウェイショー
ハリウッドサインを望む通りで2024年秋コレクションを発表
抜けるような青空の下、ヤシの木が並ぶ。BFRNDが手がけるトラックが流れ、かのハリウッドサインを背景にした通りが今回のキャットウォークだ。ブランド初となるロサンゼルスでのショーで発表されたのは2024秋コレクション。アーティスティック ディレクターのデムナは、アクティブな日常着やセレブカルチャーといった要素を〈バレンシアガ〉という世界観に落とし込んだ。スタイリング一つ一つは、人物像を想定しそのレンズを通してLAのファッションコードを再解釈したもの。モデルたちはそれぞれ、ジムの帰りのように、あるいは出勤中にコーヒーショップに寄ったときのように、もしくは友人同士で出かけているときのように、「日常」を歩く。
ファーストルックはショーツのみを着用し、早々に西海岸らしい抜け感を表現。その後ブラトップやスウェットといったスポーティなアイテムをまとうルックが続く。次いで、ジャージーの章。2000年代を思わせるベロア素材のトラックスーツや、極端なローライズ、フード付きジャケットやニーハイブーツが目を引いた。オーバーサイズで構築されたネオ・グランジスタイルも登場し、シルエットの違和感を楽しむことができる。ショーの終盤を飾ったのは、高度な技術を感じさせるイブニングウェア。クリストバル・バレンシアガの残したアーカイブを下敷きに、大胆なフォルムが試された。最後のルックは、立体的なフェイスシールドが組み合わされたホワイトガウン。古典的なエレガンスを打ち出しながらも、顔を覆うデザインで、匿名性という現代社会の性質を示唆しているのかもしれない。
今回特徴的な新しいシルエットを生み出したのは、スーパービッグサイズのスニーカー「10XL」だろう。既にファンが多い「3XL」をアップデートしたようなシューズは、足元を極端に大きく見せることで従来のスタイルバランスを崩していく。
「10XL」のほかにも、2024秋コレクションは「エクスクルーシブリリース」と題してさまざまな貴重なアイテムを送り出す。
ショー後すぐさま話題となったのは、LAの人気グロッサリーストア「エレワン」との協働アイテムだ。ヘルシーで自然派の食生活を象徴する店のロゴマークを施したナイロン製ショッピングバッグや、実際に従業員が着ているものから着想を得たエプロンなど。LAのライフスタイルがファッションアイテムを通して表されている。
そのほかにも、定番ラインの新作や限定アイテムが並び、ますます"型破り"な〈バレンシアガ〉を楽しめる。
もはやアイコン的なバッグ「Le Cagole」もXLサイズに。グリーンやヴィヴィッドなピンク、黄色といった彩りが並ぶ。ナイロンバッグを内蔵した限定版は、ハイブリッドなデザインと機能面が魅力。
なかでも、〈Jacob & Co.〉とのコラボレーションで生まれたラインは、ブランドにおいて初めてのハイジュエリー。極太のチェーンやタイポグラフィに高品質のダイヤモンドが合わさり、ユースカルチャーを繊細に反映している。
既存のコードやバランスに挑戦しながらファッションの根底を探るデムナの旅。LAを経由したことでその地平はさらに広がったようだ。
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Text_Motoko KUROKI