2024年11月24日(日)まで、『メゾン マルジェラ アーティザナル 2024 エキシビション 東京』が恵比寿の「メゾン マルジェラ トウキョウ」上階にて開催中だ。オートクチュールコレクションをさまざまな角度で解剖していく展示には、ジョン・ガリアーノ自らが着想源や技術について語るオーディオガイドが付く。
👗FASHION
〈メゾン マルジェラ〉のオートクチュールを“検視”する展覧会
「アーティザナル」コレクションをジョン・ガリアーノの語りとともに追う
最高峰の職人技を駆使し、芸術的なピースを作り上げる「アーティザナル」コレクション。その発表会場に迷い込んだかのような展示が、恵比寿で開催中の『メゾン マルジェラ アーティザナル 2024 エキシビション 東京』だ。ショー会場風に飾られた入り口を抜けると、暗い室内にオートクチュールのルックが並ぶ。
コレクションの「ポスト・モーテム(事後解剖)」をコンセプトとした展示形式も、クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノが考案。鑑賞の際には、着想源やテクニックについて語る彼の音声も聞くことができる。
展示は、実験的な技術やデザイン、ルックに込められた物語など、コレクションを織りなす創造のレイヤーを一枚一枚丁寧に剥がしていく。歩いていると、暗闇から浮かび上がるドレスやガラスケースに収められた靴などに、ついつい見入ってしまう。
2024年の「アーティザナル」ショーで発表されたオリジナルルックから25点が選ばれている。
会場は、メゾンにとって世界初の旗艦店である恵比寿の「メゾン マルジェラ トウキョウ」の上階。
身体矯正や形態学といったモチーフを彷彿させるオブジェや、ジョン・ガリアーノのスケッチを束ねたプロセスブックも展示。
複雑なレースを敢えてダウングレード(劣化)させてつなぎ合わせる「レトログレーディング」技術を用いたルックなど。
スポンジを裂けたストッキングで包む「リバース・スワッチング」も間近に見ることができる。
また、展覧会と連動し、「メゾン マルジェラ オモテサンドウ」の店舗ショーウィンドウでも「アーティザナル」のルックが展示される。
人波を眺めるように吊るされるルックは、都市に住む個性的な人物に目を向けるというコレクションテーマに呼応するかのよう。
写真家ブラッサイによるマダム・ビジューのポートレートから着想されたルック。
さらに、「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」では漫画家の久保帯人とコラボレートしたウィンドウインスタレーションが見られる。小雨降る夜にパリのような照明の下、久保氏が描いたルックを着た人物と、ショーのオリジナルルックがディスプレイされている。
ショーの世界観を写し取ったディスプレイ。
久保氏が描き下ろした、「アーティザナル」コレクションをまとったキャラクター。
漫画のアクションシーンのようなポージングで立つマネキンを使ってルックを展示。
「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」3Fでは、2024年「アーティザナル」コレクションに関連する文献を揃えた「メゾン マルジェラ ブックストア」が開店。クリエーションを“解剖”するヒントが見つかるかもしれない。11月24日(日)までの期間限定ショップだ。
「アーティザナル」コレクションは、人の個性を形作る行為や出来事を見つめる、服を媒介とした研究活動でもある。没入的な展示やインスタレーションは、見過ごしがちな物事へと目を向けるきっかけとなるだろう。
ℹ️
『メゾン マルジェラ アーティザナル 2024 エキシビション 東京』
会期＿開催中〜2024年11月24日(日)
会場＿メゾン マルジェラ トウキョウ 上階
住所＿東京都渋谷区恵比寿南2-8-13 キョウデンビル2F・ 3F
時間＿11:00〜20:00(最終入場19:30まで)
＊入場無料
＊事前予約優先
Text_Motoko KUROKI
