2018年秋冬のコレクショントピックス、No.8~No.10はプロフェッサー栗山、編集長河田に続き、コレクション新人北川がお送りします。
GINZA編集部へ異動を言い渡されて3週間後の水曜日、早朝のミラノ、不安100%で降り立ったリナーテ空港で見上げた空は青く透明で眩しかった。
初めてのミラノ、初めてのコレクションは〈グッチ(GUCCI)〉からスタートです。
FROM EDITORS 2018年秋冬コレクション Vol.8 刺激的なグッチのショーでみつけたもの

会場は〈グッチ〉の本社である、「GUCCI HUB」。
車から降りるとすごい人だかり。各国のジャーナリスト、フォトグラファー、そしてセレブリティ。
そこを思いっきり日本語で「すいませんすいません」と言いながらなんとかくぐり抜け、
ゲートから入ろうとすると、まずセキュリティに止められて軽く白眼。
到着したばかりの寝不足で生命力が弱っている自分は、不審者だと思われても仕方ないのです。客観的に見てそう思います。
気持ちを持ち直し、強気で(印籠持ちで)インビテーションを見せ、なんとか突破。
病院を思わせるグリーン一色に統一された会場、数台置かれた手術台。
時限装置を思わせるインビテーション。数字が目まぐるしく変わるその仕掛けは会場に入りショーが始まると全てがテーマでつながっているという演出の一部でした。
会場に入り、指定された席に着く。
少し早めに着いたので、出発前に前任のミラノコレクション担当、A先輩の教えを反芻して待ちます。
・スマートフォン越しで見るよりも自分の目で見て感じた方がいい。
・撮るのであればファーストルックと最後に全ルックが出てくるフィナーレを。
「Don’t think,Feel」の精神です。まさかミラノで実践することになるとは。
師匠からの教えを守る弟子のようにそれを頭の中で繰り返し開始時間が待ちます。
カチカチと時計を刻む音がBGMとして響き、時間がたつにつれて会場の緊張感が高まっていきます。
音楽が切り替わり、ついにショーがスタート!
Don’t think,Feel. そのためにもファーストルックは撮り逃すことはできません。
失敗は許されないのです。
その1カットを撮るためにi-phoneを構える。
ブレないように両手で万全の体勢、さあ来い、ファーストルック!
……ん?……あれ?
うそでしょ、ねえ…三方向からモデル出て来てない?
ファ、ファ、ファーストルック、ど、ど、どれ??
パニックになっているのも束の間、次々とモデルが目の前を無情にも通り過ぎていきます。
FeelもThinkも通り越して,panic!panic!パニックです。
しかし周囲にいる他誌のベテラン編集者のみなさんに迷惑を掛けるわけにもいかず、涼しい顔をしてショーを見続けた自分を女優と呼びたい。呼んでもらって構いません。










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1 / 5頭部を抱えたモデル、幼い頃女の子がお絵かき帳に描いていたようなお姫様ドレスかと思いきや顔を見ると三つ目の特殊メイク、中国風の建物の帽子やニットやレースの目出し帽などひとつひとつが独特で、濃厚なレイヤード、スタイリングのルックが続きます。
テーマは「サイボーグ」、そしてこの手術室から生み出されたポストヒューマン。
その演出も加わって、スタイリングで見るとパンチ力が強めなのですが、
ひとつひとつに注目するとアイコニックなアイテムがたくさん登場しているのも見逃せません。
GGロゴのマクラメレースやグッチの代表的なアイコンのひとつ、フローラモチーフをはじめ、
NY ヤンキースのロゴ、1960年代の日本漫画「ビバ!バレーボール」、
それ以外にもアメリカの映画会社〈パラマウント〉のロゴなどを取り入れたアイテムは素直に欲しい、ウィッシュリストに加えなきゃ、です。
ボーリングシェイプのバッグ。今まであったようでなかったこの形。
コロコロしていてかわいいけれどインパクト強めです。
素材はブラックレザーでダブルトップハンドル、トップにはオーバルシェイプのエナメル、ダブルGがあしらわれています。
NY ヤンキースロゴ入りスリッパ(欲しい…)。しかしなぜこのコーディネートに…このコレクションでは色々なところでMLBのチームロゴが使われています。
他にはロサンゼルス・エンジェルス、デトロイト・タイガースなど。
ミニドームバッグ。中でショルダーストラップの長さが調整でき、内側には取り外しができるフックとカードホルダーがついています。
ちなみにフィナーレはなくそれも撮れず(教えを守れず)、
そして圧倒的な世界観の余韻がごちゃまぜになって、
いろんな意味でいっぱいいっぱいな気持ちで初めてのショー会場を後にしたのでした。
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Takeshi Kitagawa
コレクション新人。新入社員の時の配属先はPOPEYE編集部。その頃の上司につけられたあだ名は不測の事態にすぐあわあわしていたので「あわわ」。その性格は今も変わっていません。全然関係ないですが、最近、一番使っている形容詞は「かわいい」。そしてこの形容詞には10個くらい意味があるのではないかと思い始めています。
※登場するアイテムは参考商品を含みます