コレクションの主役はもちろん洋服だけれど、その世界観を伝えるための会場演出もとても素敵です。今回は編集部・河田が浮き足立った3ブランドについてレポートします!
FROM EDITORS 2018年秋冬コレクション Vol.5 シャネル、ルイ・ヴィトン、ロエベの素敵空間

2005年からシャネルは多くのコレクションショーをグラン・パレで開催しています。1900年のパリ万国博覧会のために建てられた8区にある歴史的建築物の本堂に、毎回、シャネルワールドが出現するというわけです。
今回は、一面落ち葉の絨毯の、深い深い森でした!
デザイナーのカール・ラガーフェルド曰く“インディアンサマー”(小春日和)を表現したとのこと。落ち葉と木々(本物!)の深い香りが会場を満たしていました。
この森の中に登場したのが、赤褐色やレッド、オレンジ、モスグリーンといったカラーパレットや年輪プリントの洋服たち。枝のようなブレードや葉っぱモチーフのシェルボタンなどシャネルらしい愛らしさがディテールにもたくさん見られました。
力強くも儚く、その輝きと純粋さを保ちながら常に生まれ変わる自然の優美さは、シャネルのアイコンやスタイルが時代によって左右されない魅力と重なります。
アイコニックなツイード素材も、落ち葉や森のカラーパレットに。全体的にこのような細長いシルエットが印象的でした。
葉っぱ柄のロングジャケットに、大判のカラフルなストールが暖かみを加えます。
続いて、ルイ・ヴィトン。こちらもここ数シーズン、会場はルーヴル美術館です。ルーヴル美術館の中に(展示品はそのままの状態で)ランウェイが作られるって、普通に考えたらすごいことですよね。さすがパリ、さすがルイ・ヴィトン。
今回はこのように。
ルーヴル美術館のルフュエルの中庭(今回は一般入場はされていないスペースでした)に現れたスペーシーなランウェイ。デザイナーのニコラが得意な過去と未来の融合がこの会場で見事に表現されておりました。
洋服もまさに、伝統とモダニティがかけ合わさったコレクションでした。
シグネチャーであるトランクボタンをアクセントにしたトップス。ニットとタイトスカートのデイリーかつフェミニンな装いであるところがモダンです。
鮮やかなイエローが印象的なシェアリングジャケットに膝丈スカートの、LV流コンサバスタイルと見た。
そしてロエベは、パリのユネスコ本部がショー会場です。
グラフィカルな会場の中に、E.W.ゴッドウィンがデザインした輝夜暖炉が置かれていました。
無機質なムードの中に灯る暖炉のアート。
そして、各席には大きな本が置かれていました。これはメンズ、ウィメンズともに広告に登場する古典小説で、ロエベが新しく8月15日よりローンチさせる「ロエベ・クラシックス」というプロジェクトだそう。各作品はその国のオリジナルの言語のみで展開されます。そして本の帯は、スティーブン・マイゼルが過去に撮影した作品が採用されている。
ちなみに私の席には『DRACULA』が。他にも『嵐が丘』や『ドン・キホーテ』など合計6冊、69000円(税抜)で8月15日に発売予定だそう。
コレクションも、ロエベの伝統であるレザーを洗練されたピースに昇華していて、さすがジョナサンさん。
レザーの使い方も、サンローランやジバンシィとはまた全然違うモダンさが漂う。
一見ベーシックなチェックのツイードコートだが、コンパクトなレザーの衿、タイトな見頃、肩は丸みを帯びつつアームにかけて直接的なラインになっていてかっこいい。
ニットのトップスと大判のシルクストールのようなスカートを、カラフルな糸で1ピースに繋いでいる。異素材の間に肌が見えてセクシーでもあるし、ハッとする。
こうして振り返ると、どのメゾンも、会場構成とコレクションの世界観が密接にリンクしているのが分かります。音楽のライブや演劇を見に行ったときに味わう感動に近いのですが、それでもライブや芝居は期間中何度かやるもの。ファッションショーは1度限りの事なのになんと贅沢な空間だろう、と毎度しみじみ思います。
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Saya Kawada
配信が進んで、世界中どこにいても同時にショーが味わえるようになったのは、ブランドからしたらコスパがめちゃくちゃ上がってるって事なのかしら。