10月15日の夜、突然ピンク色の派手なフライヤーと共に、「明日の夜コシェが東京でパーティをやるのでぜひ来てください」というメールが届いた。え?コシェ、今東京にいるの?明日?急な招待に戸惑いながらもパーティへ参加。翌日デザイナーのクリステル・コシェールにいきさつを聞いた。
コシェが緊急来日。突然のパーティ開催の真相、お薦めの2019SSルックは?

──なぜ東京でパーティを開催したのでしょうか?
来年3月に東京でイベントを開催する予定なんです。準備を進めるために来日したのですが、東京には多くの友人たちがいるので、自然発生的にパーティをしようか、ということになりました。1週間くらい前だったかな。
──1週間前!急ですね!
前々から計画されたことよりも、友達に今夜ごはん食べに来ない?と誘うような、気軽な感じの方が楽しめませんか?私たちはそういう自由なスタンスでいたいと思っているんです。
──フライヤーがまた派手でしたね!
香港人のスタッフがデザインしました。東京っぽくて「カワイイ」でしょ?!楽しそうだし!ショーでモデルにもなってくれている友人のジュエリーデザイナーのマリッサ・セラフィンがパーティを仕切ってくれたので、彼女らしいピンクに。彼女はかなりの東京通なんです。「I’LL BE BACK」とあるのは、映画『ターミネーター』を意識していて、来年3月戻って来るから、ということを言いたかったんです。
パーティのフライヤー
パーティをオーガナイズしたマリッサ・セラフィン
──DJ illeffectsとありますが、ゲストもたくさんいたようですね。
illeffectsを率いるDJバルガーや、AMIAYA、ショーに出てくれたこともあるモデルの吉田沙世がDJをしてくれました。皆ハイとロー、メジャーとアンダーグラウンドのバランスをとっている人たち。私はどこか一つに偏りたくないんです。朝5時まで盛り上がりましたよ!
会場は原宿の有名DJバー「bonobo」。マリッサの紹介。
──会場に、9月25日にパリで行なわれた2019年春夏のショーの招待状に同封されていた旗がディスプレイされていました。世界の国旗がプリントされていますが、この旗の意味は何でしょうか。
“UNITED HEARTS OF KOCHÉ”を表しています。このコレクションは国際的で、多様性を祝福するものにしたかった。1ヶ月世界を旅行してインスピレーションを得て、異なる国の文化、プリント、服、形をミックスしたんです。ファッションがポジティブなメッセージになってくれれば、と。
──世界の国旗をミックスしたルックは象徴的ですね。
日本の着物の形をしているんですよ。それをビッグサイズにしました。
──GINZA読者にお薦めのルックはありますか?
日本やアフリカのタトゥーや、中国のモチーフをプリントしたドレスはどうでしょうか?
日本人モデルの松岡モナが着ている、白いシャツとさまざまなプリントをパッチワークしたスカートの組み合わせもお薦めです。
フランスのレースをあしらったドレスも着やすくていいと思います。
──今回ザ・ウールマーク・カンパニーとコラボレーションしているそうですが、それはどんなアイテムなのでしょうか。
日本の中伝毛織という機屋さんと仕事をしました。このウールのコートは、コシェのために特別にプリントを施してもらっています。袖にはさらにサッカージャージのようなプリントをしているんです。
──いつも屋外でオールスタンディングということが多いですが、今回は屋内できちんとシートがあったことにも驚きました!
女性にオマージュを捧げ、曲線を多用した建築家、オスカー・ニーマイヤー が設計したフランス共産党本部にある「ESPACE NIEMEYER」は、より洗練し、フェミニンにしたかった今シーズンのコレクションにはぴったりだったんです。この建物があるコロネル・ファビアン広場は1970年代自由を求めて闘う人々が集った場所でもありました。地下にあるので、静かで、落ち着いていて、ミステリアスな雰囲気があるのも良かった。今後ずっと席を設けるかどうかはわかりませんけどね!(笑)
──来年3月の東京でのイベントではどんなことを考えているのですか?
日本の生地を使い、日本で生産したコレクションになる予定ですが、詳細は秘密です!
──わかりました!その時まで楽しみにしています!その他、何か計画していることはありますか?
日本ではメンズウェアに人気があるので、引き続き力を入れていきたいです。そして、すばらしいコラボレーションも予定しています。来年1月にまた来日する予定なのですが、その時に詳細をお知らせすることができると思います。
──気になりますね…またお目にかかってお話を伺えるのを楽しみにしています!
Photo: Kaori Akita(Christelle Kocher, Marissa Seraphin) Text: Itoi Kuriyama