「そ、そんな細かいところまでこだわる!?」という「おこだわり人」を紹介する人気マンガ『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(清野とおる著/講談社)に深く敬意を表し、険しく高い「食の道」を究めんとする人々の「おこだわり」を徹底調査。
外パリ、中トロ! 最高のトーストの作り方ーあなたの食「おこだわり」教えてください。池田浩明さんのバタートースト編

僕が理想とする
ベストな食感にするためには、
金網とオーブントースターの
2台使いをします
池田浩明≫
パンの研究所「パンラボ」主宰・ブレッドギーク(オタク)。ベーカリー業界を中心に、ライター、カメラマン、エディターとしても活躍中。
「僕はすべてのパンを愛しているので、どこの店のどのパンが好きかということよりも、いかにパンを美味しく食べるかが重要だと思っています。だから食パンをトーストする時も、好みの食感に近づけることに命をかけますね。たとえば自宅でバタートーストを食べる時、あなたはいつもどうやって焼いていますか?」
え、トースターに入れて、焼き上がったらバターをのせて食べていますけど……(逆取材??)。
「僕は、最高に気合を入れるときは網焼き。手間はかかるけれど、〝外パリ、中トロ〟の理想の食感にするためには、網で一枚一枚丁寧に焼くにかぎる。食パンは、空気に触れると劣化が早まるので、食べる直前にスライスすること。でも焼きたてのパンは、そのまま食べたほうが絶対に美味しいから、トーストにするなら2日目がベストですね。パンをスライスしたら、表面に霧吹きで水をかけます。網は網受け皿と一体化しているものが最適で、直接火が当たる網受け皿にも霧吹きしてあげると、蒸気が上がりパンがしっとりするんです。そして、火をつける前にオーブントースターのスイッチを入れておいてください」
えっ? 網焼きした後にオーブントースター?
「それは後ほど説明するとして、まずは火をつけたら弱火にして、火が隠れるようにパンを網の上にのせます。ここから約1分30秒。パンを持ち上げると網目の位置が変わり、見た目の美しさに影響するので、横から覗き込むように焼き色を確認しましょう。こんがり焼けてきたらひっくり返して、ここから1分弱くらい。その後バターをのせます。ここでオーブントースターの登場です。スイッチを切って、余熱でバターをとかすんです。これで完成。そうすると、フワフワを超える〝外パリ、中トロ〟というベストな食感が楽しめるんです。この食感を体感したら、トーストの価値観が変わりますよ」
食パンを最高に美味しく食べるには
外パリ、中トロの食感が命!
外パリ、中トロにしやすいのは5枚切り。池田さんがいろいろ試して、自分の好みの食感に一番近づけられる厚みがこれだった。
パンの表面を霧吹きでそれぞれ2プッシュ。まんべんなくかけることが大事なので、霧吹きを遠くからかけて、細かい霧を噴射すべし。
池田さんのおすすめのバターは〈よつ葉バター〉。タテ半分に切り、厚み2cmくらいのものを1個中央にのせて、オーブントースターへ。
見よ、この美しい焼き色!
外は薄皮くらいの感じで、パリッとさせ、中は水分が残っているので、イイ感じのとろとろ感。多少黒くてもスパイシーで美味。
京都「辻和」の金網を愛用
網受け皿がついた金網は、炎に直接あたる鉄板が、柔らかい火に変換してくれるので、ちょうどいい火加減で焼くことができる。
Photo: Yoko Tajiri
Cooking&Styling: Keiko Natsui
Text&Edit: Emi Suzuki
Illustration: Kahoko Sodeyama
Cooperarion: Chiho Ohsawa, Nami Inoue, turedurehanako