暑い夏は、お家にいながらにして美味しいお酒で季節を感じてみるのはいかがでしょう。馬喰町のカフェ・バー「abno」のバーテンダー、野邑翔さんにレクチャーいただき、世界各地に思いを馳せつつ飲みたいクラシックカクテルや、一緒に考えたオリジナルカクテルのレシピを全6回に渡りお送りします。第一回目は暑い時期のメキシコからやってきた定番ドリンク。カクテル初心者GINZAとの対談形式でどうぞ。
ビアカクテル「ミチェラーダ」
GINZA メキシコがルーツのカクテル「ミチェラーダ」。一口いただきましたが、なんていうか、トマトの冷製スープみたいな感じがしました。表現が乏しくてすみません。
野邑 スープっぽく感じるのは、隠し味に入れているウスターソースですね。ベースに入っている「クラマト」ジュースにはクラム(あさり)のダシも入っているので、なおさらスープ感が出ているはずです。 モデロビールで作るレシピがメキシコではスタンダードですが、日本でも手に入りやすいコロナビールでよりすっきりとした味わいになっています。
GINZA あと印象的だったのが、カラフルなマジックソルトの香り。口に入れた瞬間広がって、嗅覚も一緒に刺激され、脳みそが覚醒しました。
野邑 本来はチリパウダーで作るのですが、お手軽なマジックソルトを使ってみました。色もグリーン、レッド、ホワイトと、カラフルで見た目も可愛くなります。ビールがベースになっていますが、暑い時期に飲むものなので氷を入れているのもポイント。夏のトマトはやはり冷えていたほうが美味しいですから。
GINZA 個人的にずっと食わず嫌いな野菜だったんですが、数年前、真夏に冷えたトマトを食べたらスルッと食べられるようになって、そこから好物になりました。それもあってレッドアイはよく飲みますが、もっとスパイシーでゴクゴクいける感じですね。
メキシコ気分をアップする、お祭り気分なテーブルセッティングもお忘れなく。
野邑 このカクテルのストーリーは、1960年代にイギリスのスポーツクラブでMichelさんという方が創作し広まったという説と、メキシコの言葉で「私の氷入りの冷たいビール」を意味する “mi chela helada”を語源とする2つの説があります。
GINZA スポーツクラブで飲まれている感じ、なんか想像つきます。塩分が水分補給にとっても良さそう。そんな歴史に思いを馳せつつ飲むのもカクテルの楽しさですね。さて、もう一つのお楽しみ、ペアリングするお料理はどんなものでしょうか?
野邑 やっぱり南米らしいタコスやメキシコ風モツ煮込みが美味しいですね。もちろんビール感覚でチキン、フライドポテト、牛タン、カルニータ(豚のほぐし)なんかにもとってもよく合います。
GINZA 酔ったら、お部屋の中にいるのになんだか陽気なマリアッチが聞こえてくるような…。『ナルコス』か、『ブレイキング・バッド』でも観ながら飲めば、もう気分はメキシコですね。
野邑 海外旅行に行けない今、様々な国のドリンクを知ることで、それぞれの国のカルチャーに興味を持つきっかけになってくたら嬉しいです。