テクノ系のミュージシャンとして活躍するディスク百合おんさんに、最近取材のオファーが絶えない。本の出版も決まっているという。音楽愛を語っているのかと思いきや、話しているのはなんとグルメネタ。それも一から作り上げるオリジナル料理ではなく、コンビニですぐに手に入る商品を組み合わせて作る「コンビニかけ合わせグルメ」。冷凍担々麵×ごまだれ付きの棒棒鶏、海老チリソース×チャーハンなど、コンビニで買ったものを合わせるだけと超簡単なのに、あまりのおいしさと完成度の高さから、マネする人が続出している。
「昔から何かを生み出すのが好きで、実家暮らしの時からひとりでコンビニかけ合わせグルメを考えていました。きっかけとなったのは、90年代に『コミックボンボン』で連載されていた『OH!MYコンブ』。秋元康さん原作のコメディマンガで、市販のお菓子を組み合わせて料理を作るという内容なんですが、モナカを火で炙ったり、餅にココアの粉をかけたり、子ども心をくすぐるネタのオンパレードで、ドハマりしましたね。自分でも試してみたかったんですが、当時母親に『食べ物で遊んじゃいけない!』と言われ、なかなかできなかったんです。高校生くらいから、親の目を盗んでたまに開発していたんですが、3年前に一人暮らしを始めたら、ずっと抑えていた気持ちが爆発して! コンビニで良い商品を見かけると、混ぜたい衝動にかられるようになり、ちょこちょこ作っていました。それである日何気なくTwitterに完成品をアップしてみたんです。そうしたら反響がスゴくて…。担々麵×棒棒鶏の組み合わせは、リツイート数が半端なかった。その日は興奮して、眠れませんでした(笑)。僕、本業はミュージシャンなんですけど、そっちよりもコンビニかけ合わせグルメネタで有名になってしまって、ちょっと複雑な気持ちです……」
しかしディスク百合おんさんは、毎日コンビニに通い続けるほど研究熱心。常に各コンビニを巡回し、かけ合わせたい商品を探し、新商品は必ずチェックするという。だから1つのコンビニの滞在時間はいつも長い。店員さんから『あいつ、何やってんだ?』と白い目で見られることも。
「かけ合わせを考案する時は、食べたことのない商品同士を脳内調理して、これはイケる!と踏んでから実践することもあれば、それぞれの商品の味を知ってから合わせることも。でもパッとインスピレーションが浮かび、一発トライで、めちゃくちゃうまいものができた時は、『僕、天才かも!』って一人でニヤニヤしてます(笑)。商品だから単体ですでに完成されているので、かけ合わせ時にそれぞれの持ち味を損ねるようであってはダメ。お互いのおいしさがしっかりと調和されることが大事です。もちろん失敗もたくさんありますが…。主食やつまみ、デザートはもちろん、ドリンクをかけ合わせることもあります。冷凍コーナーにあるマンゴーやベリーのフルーツと赤ワインを合わせてサングリア風にしてみたり。それだけでリッチな気分になるんですよ。外で食べるよりリーズナブルだし、手軽なのにボリューム感も出るから満足度が高いんです。大体コンビニで売られている惣菜や麺って、「もうちょっと食べたいな…」くらいの量にしてあるんですよ。おにぎりやサンドイッチを足して1食分になるように、うまくできている。だからコンビニかけ合わせグルメは、結構理にかなっているんです。かけ合わせを考えている時間もワクワクするし、さらに料理している楽しさも味わえる。1食ワンコインくらいで食べられるし。最近はスピリチュアルじゃないですけど、商品の方から『かけ合わせて~』と、僕に訴えかけている気がしてきて…。あれ?僕ヤバイですかね…?」
そんなディスク百合おんさんに、今回は自宅の一番近くにあるセブンイレブンで手に入る、コンビニかけ合わせグルメを考案してもらいました。
冷製蒸し鶏のねぎだれ325円+冷し中華黒酢入り醤油だれ 2食入178円。冷やし中華の麺を茹でて、冷水に冷やした後、盛り付けて2/3くらい黒酢入り醤油だれをかける。そこに冷製蒸し鶏のねぎだれを盛り付けるだけ!
蒸し鶏のねぎだれ冷やし麺
「夏にピッタリ! 贅沢な1品。中華料理店のメニューにありそうなほど完成度が高い。冷やし中華は2食入りなのでワンコイン以下で作れます。タレの濃さは自分好みにアレンジしてOK」
ごまフランス110円+生ハムロース148円。クリームチーズ入りのごまフランスの切れ目に、生ハムを挟むだけ。
生ハムとクリームチーズのごまバケットサンド
「クリームチーズのほどよい甘さと、生ハムの塩気が絶妙にマッチ。ごまの風味もたまらなく、女の子が好きな味。挟むだけなので、時間のない朝やランチ代わりにもってこい!」
ひとくちわらび餅(黒蜜入り)128円+濃厚なめらか豆腐128円。両方を一緒に盛り付けるだけ!
お豆腐と黒蜜わらび餅のきな粉がけ
「コンビニスイーツはレベルが高いので、かけ合わせを考えるのは結構難しい。だからあえて惣菜コーナーにある豆腐を合わせてみました。そのまま食べると豆腐ですが、かなり濃厚なのでスイーツにも合うんじゃないかとひらめいた一品。濃厚な黒蜜の甘さが、豆腐のおかげでさっぱりかつクリーミーに。豆腐のぷるん食感と、わらびもちのもちもち感がたまらない!」