毎日使うものだからこそエシカルなアイテムに目を向ける人が増加中。アップサイクルの進化やコンポスト情報、海外の傾向など国内外のシーンを見つめる2人にたずねた。
アップサイクル、サーキュラー…未来を考えたプロダクト新潮流
日用品パビリオンvol.13
INTERVIEWEE
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チャン・ユーチンさん&若井康弘さん
世界を旅して集めたサステイナブルな雑貨を販売するECサイト「ボーダーレスクリエーションズ」を運営。生産者との対話を大切にし、ものづくりに懸ける想いも丁寧に聞き取る。そうしてラインナップするアイテムは自身の愛用品でもあるそう。
いつもそばにあるものをシフトするだけでヘルシーな生活が切り拓かれていく
「この5年ほどで、『持っていて気分がアガる』グッズが増えてきました」(チャン)
2030年までにクリアしたい世界共通の17の目標が2015年の国連サミットで採択。それからというもの、海や森の汚染や気候変動といった環境問題にブレーキをかける日用品が続々とリリースされるように。
「デザインを学んだ作り手も多く、製品のブラッシュアップが進行中。顕著な例として赤や黄といったポップな色(a) が多くとり入れられています。アースカラーが主流であった分野において、この変化は目覚ましいです」(若井)
(a) ナチュラルから一転してヴィヴィッドに
「地球への配慮とともに、モノに対するときめきも重視できるようになりました。そもそも、自分が気に入ってないと、生活に定着しない。使用回数が少ないままに処分の道をたどるのは、本末転倒ですしね。もし、何を選べばいいか迷ったら、認証マークにも目を向けてみるのもアリです。環境保全に役立つ『エコマーク』、森の多様性と労働者の権利を守って生産したことを示す『FSC認証』などが指針となります」(チャン)
同様にアップサイクル (b)のアイテムも充実。 「特に国産が素晴らしい。元来から誇る手先の器用さと、これまで培ってきたものづくりの技術が応用されているのかも」(若井)
コメントを受けて周囲を見渡すと、割り箸、バット、さらにはパンまでもがリクラフトされて再び日常に溶け込んでいた。さらに踏み込んで、ルーティンに一石を投じるものも登場。
(b)大胆に姿を変えるアップサイクル
「NYで豊富にそろう原色の生分解性のゴミ袋を日本でもようやく見られるようになりました。ピンク×赤のカラーリングが目を引く 〈リプレイフル トラッシュ バッグス〉は(c)サトウキビが主原料です。これで不要物を処分するって、ワクワクしませんか? 頻繁に使用するには思わず〝もったいない〟とも感じてしまう可愛さですよね。存在感があるから、捨てることに対する責任感も生まれるのではないでしょうか」(チャン)
(c) ポジティブになれるごみ袋?
次の段階として、モノを循環させる 「サーキュラー」(d) という言葉をよく耳にするように。鋳物ホーロー鍋〈バーミキュラ〉では愛用品をいったん溶かして新しく作り直せるプログラムを開始。また、張り替えを前提に設計されたビニール傘〈サエラ〉もあり、対象範囲は多岐にわたる。
(d)注目ワードは“サーキュラー”
Photo: Wataru Kitao Text: Mako Matsuoka