平成元年生まれのオタク4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、わいわいトーク!メンバーである、かんさん、ひらりささん、もぐもぐさん、ユッケさんが月替わりで登場します。
今月は、GINZA 8月号(7月12日発売)「私たちには映画がある」特集から連想して、「映画の楽しみ方」についてひらりささんともぐもぐさんがお話します!前回の記事はこちら。
劇団雌猫の“幕間におしゃべり” vol.02

平成元年生まれのオタク4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、わいわいトーク!メンバーである、かんさん、ひらりささん、もぐもぐさん、ユッケさんが月替わりで登場します。
今月は、GINZA 8月号(7月12日発売)「私たちには映画がある」特集から連想して、「映画の楽しみ方」についてひらりささんともぐもぐさんがお話します!前回の記事はこちら。


リニューアル2回目!今回は私ともぐもぐさんでお送りします。
よろしくお願いします〜!今月のGINZAの特集は「私たちには映画がある」なんだって。暑すぎる日本の夏に、涼しい部屋で楽しめる映画は重要なエンタメかもしれないね。


私、家だとスマホをいじってしまうので100パーセント劇場派。もぐもぐさんは?
私も家だと集中力が続かない! 2時間の映画を1時間で止めて数日後に観るとか全然やってしまう……。でも、それができる配信サービスの存在はありがたいとも思います。


細切れに観られるのは配信のいいところだね。私は劇場で週1本観るのが理想なんだけど、なかなか難しくて。公開から1週間経つと、夜帯の上映が終わっていて昼オンリーになっていることも多いから、早朝に上映している映画館を活用したりしてます。
わかるわかる、劇場で観たいとなると意外に瞬発力が必要だよね!朝早くにやってるのってどういう作品なの?


人気の邦画とかは、幅広い層に届けるために朝の回も充実してたりするよ。『ラストマイル』は朝に観ました!8時半スタートとかで。
へー!小学生が朝公園に集まるみたいな時間だ(笑)。強制的に早起きできるのもよさそう。この前『ヒプノシスマイク』の映画を観たかったんだけど、新宿で朝8時40分からの回が前日時点で満席で。オタクって本当に元気だなって思ったよ。


私も公開半年後くらいに『THE FIRST SLAM DUNK』を観ようとしたら都内の劇場が全部満席でびっくりした。もぐもぐさんは応援上映とか舞台挨拶って行く方?
私は舞台挨拶はそんなにこだわらない派。でも推しのお仕事が、俳優一本じゃないからかもな〜。特に海外の俳優さんとか推してる方だと、きっと舞台挨拶はレアチャンスだよね。


わかる!この間『脱走』という韓国映画の舞台挨拶が当たって行ってきたんだけど、みんなスローガンとか持っててお祭り感がすごかった。
映画館にも持ち込みOKなんだね。日本のアイドルが出る映画は絶対「うちわだめですよ!」のマナーが流れてくる気がする(笑)。 応援上映はめちゃくちゃ好き! ってほどではないけど、その作品が好きな友達と行くと一緒に盛り上がれて楽しい。


応援上映って、この数年でかなり一般的になったよね。ジャンルによってルールが違うのは要注意だ。
自分が最初に行った応援上映ってなんだろうって思い出してみたけど、2016年のアニメ映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』な気がする。このへんで一気に盛り上がったっぽいね、2015年『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の「絶叫上映」、2016年『シン・ゴジラ』の「発声可能上映」。


私もその2つは行ったかも!あと私、応援上映が商業化する前に、ファン有志が催した応援上映に行ったことがあるんですよ。
ファン有志!? 自主上映的な…?


玉山鉄二と高良健吾が出てる2009年の『ハゲタカ』っていう映画なんだけど、めっちゃ行動力があるファンかどなたかが、自主的に劇場で上映して。コスプレも自由で、ゲストとして監督も呼ぶみたいな回だったのよ。そこに行ったら、玉山鉄二が高良健吾に缶コーヒーを渡すというシーンで、隣の人に肩叩かれて缶コーヒーを渡されました。
面白すぎる!ひらりささんがさらに隣の人に渡さなきゃ!(笑)


缶コーヒーリレー(笑)!ところで、もぐもぐさんは舞台の感想をめっちゃメモってるイメージがあるんだけど、映画もそう?
作品による。例えば最近だと『教皇選挙』は、よくわからなかったことをあとで調べようと思ってメモってた。暗闇の中、A6サイズの小さいノートとボールペンで勘で書いている……。自分もやりたいという方がいたら、1ページに上から下まできれいに書こうとすると絶対筆跡がかぶって読めないので、一言二言書いたら、ガンガン次のページへ進むのがおすすめです。真似したい人いるかわからんけど(笑)。


最近は事後的に音声で記録している人もいるような。
映画観た後、ポッドキャストで感想を探して聞いてる〜って友達もいたよ。プロのレビューっていうより、いろんな人のいろんな意見を聞きたい、読みたいって気持ちはわかる。ひらりささんもかなり作品数観てると思うけど、感想どう残してる?


私はXに書いて満足しがち!あと年に一回、Xの自分の投稿を頼りにチケットの予約メールを掘り起こして、その年に観た映画を全部一覧にしてブログで振り返るよ。今年は「故郷」に関する映画をよく観たな〜とか。
へ〜!年1くらいのタイムスパンだと自分でも意識してなかった共通点とかありそうだね。


時間をおいて、一人で振り返るというのは意識してるかも。私はわりと同行者に影響されちゃうタイプなのよ。『ラ・ラ・ランド』を人と観た時に、見てる間も隣から負のオーラを放たれ続け、鑑賞直後もその人の映画の悪口が止まらないってことがあって、自分自身の『ラ・ラ・ランド』感想がうまく持てなかったという悲しい出来事があった……。
デイミアン・チャゼル(監督)を嫌いな人が観に来てしまった不幸が……(笑)。私は当時も今も『ラ・ラ・ランド』大好きだけど、あの頃はネットの映画好きの間でまぁまぁ不評だったから、好きって言うのに勇気が必要だった覚えがある。「みんながなんと言おうと私は好きだぞ!」って強い気持ちで。


映画って、古来からオタクのいるジャンルだから、影響されないのが難しいよね。Tinderでマッチした男性と和気藹々と映画の感想交換をしていたが、最終的に『アフターサン』の解釈違いで揉めてブロックされたことまでありますからね。
感想戦がガチバトルすぎる! そう思うと私は友達と感想が分かれるのはわりと平気な方かもしれない。


SNSの瞬間最大風速って大きいから、最初の空気に引きずられちゃうところがあるのかも。だから私の場合、周りや自分が冷静になっている年一の振り返りがちょうどいい!
わかるわかる、世間の評価が悪いと「え、これ好きだと思った自分ってダサい…?」とかなっちゃうよね。「ひとりで観るし考える」を意識するのは大事かも。逆に、バズってて観に行って最高だったケースもあるので難しいけど。ちなみに、ひらりささんは面白くなかった感想もSNSに書く?


うーん、「面白くない」とは書かないかも。あと、基本的にちゃんと宣伝されている映画は、100分あれば5分くらいは面白いところは絶対にある、と勝手に信じてる(笑)。
よいところを見つけてあげるスタイル。


たとえば私は『教皇選挙』は全体としてめっちゃ面白いと思ったけど、一方で「なんか逆算感が強い」とも思ったんだよね。「俺はこれが好きなんだ〜〜〜〜!」で作られている映画は好きだけど、「みなさんこういうの好きでしょ?」だと萎える。
客への目配せがね。私は最近子どもに付き合って公開後すぐに観た『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』の映画がすごくよくてびっくりして!SNSに毒されてるからこれはネットで話題になっちゃうな、と思った(笑)。これもさ、自分ひとりじゃわざわざ映画館にいかなかったと思うので、好きか嫌いかわからない博打を打てる心と時間の余裕がほしいと思いましたね。日本で最もピクサーに近いアニメ映画が『たべっ子どうぶつ』になるなんて想像もしてなかったよ!


可処分エンタメ時間の奪い合いがあるから、つい「絶対に面白いだろう」という安牌な作品ばかり観てしまうよね。しかし、つまらん映画に「つまらん!」って思うからこそ、ドンピシャな作品に出合った時に「おもしろ〜〜〜!!!」ってなれる側面も。
それは本当にそう。タイパ・コスパと言われる時代だけど、相対評価として「退屈」とか「つまらん」とか「ムカつく」とかって実は必要説。


つまらないものも観ないと、審美眼は養われないんだよね。今まさに子育てしている友人が、「今の子どもは、面白いものだけ見ることができてしまうのが困る」と言っていた。個人的には、他人にフィルタリングされてないものを観るのも大事だと思うから、私はみんながすでに面白いと言ってるものは逆に観ず、まだあんまりSNSで話題になっていないものを自分で確認しに行くようにしてる。
それも指針としてありだね!評価がいい悪い真っ二つのものをあえて観るぞ! とか意識して観てもいいかも。


うんうん、ちょっと変化球でね。皆さんも「映画の楽しみ方」や「思い出の映画」のエピソード、ぜひ聞かせてください!
Illustration_Maiko Sugiyama