最新号のヴィンテージ特集、ご覧いただけましたか?ヴィンテージブームの波は、なんと「伊勢丹新宿店」にもやってきています!本館2階「ReStyle Tokyo」内でヴィンテージショップのポップアップが常設され、話題になっているとの噂を聞きつけ、その取り組みについてお話を聞いてきました。
ヴィンテージブームの波は百貨店にも。伊勢丹新宿店はなぜ”古着”を売り始めたのか

東京ブランドが並ぶ「ReStyle Tokyo」の中に、突如現れるヴィンテージアイテム。他のブランドと並ぶからこそ際立つ、“何かあるぞ感”を察知し、ウキウキしてしまいます。ここでは約2週間ごとに、バイヤーの関根千紘さんがセレクトしたショップがポップアップショップを開催中。そもそも、このイベントはどうして行われるようになったのでしょうか?
「ショップや街で見かける自分達のショップに来てほしいなと思うお客様で、ヴィンテージを取り入れている方が増えてるなと思ったことがきっかけでした。インスタグラムでも、コーディネート写真にあえて『ヴィンテージです』と記載している方が多かったり。みんなどこかに自分だけの1着を取り入れたいんだなと感じました。そこから、本館2階=センターパーク/ザ・ステージ#2で、16年5月は〈DEPT〉さん、今年のはじめに〈MALION 〉さんや〈FUROL〉さんなど、いくつかのショップでのイベントを行ったら、初日からたくさんの方に来ていただいたんですね。予想以上に反応が大きかったことから、「ReStyle Tokyo」での常設に繋がっていきました」(関根さん)
そんなに早くからヴィンテージの波が来てたとは! しかし伊勢丹に訪れる人というと、ヴィンテージというよりもモードな印象が強いのですが、実際どんな方がお買い物をされているのですか?
「モードやトレンドを理解したうえで、そこに何かプラスして自分だけの装いをしたいと考えるお客さまが多いと思います。宝探しをするように自分の気分やスタイルにフィットするものを探しあてて着こなし方も工夫して真剣に選ばれている姿が印象的です。また、誰がセレクトした古着なのかということもポイントなのだと思います」
「もともとそのショップのファンで、オーナーさん目当てでいらっしゃる方も多いですね。実際にオーナーさんや店長さんに接客していただいているので、お話しながらその服の背景を聞いて感化され、購入を決める方もいらっしゃいます。あとは、他のブランドを見にきたお客様がふらっと立ち寄ってくださったり。ここで古着に初めて触れる方も多いはずなので、ここからお客様の選択肢を増やし、その人らしい装いに出会えるきっかけになったら嬉しいです」
取材に同行した編アシKO。上品なファー付きニットとファーバッグに夢中。「普段は選ばないアイテムを試したくなる。ベージュは初挑戦ですが、意外に自分の肌の色と合う気がします」。
これまでオリジナルと古着を扱う大阪のPERK、同じく大阪でアンティークのラインナップが豊富なLARA VINTAGEなど、10以上のショップが参加。どのように見つけ、出店に至っているのでしょうか?
「主にインスタグラムですね。今、個人で古着の買い付けをしている方も多い。WEBのみで販売しているお店なら自分で実際に購入してみたり、地方のショップには実際に足を運んだり。今までポップアップを行ったショップの方に、気になっているお店を教えていただくこともあります。」
「現在、2月頃までラインナップが決まっていて、お声がけしてから、実際にポップアップを行うまではだいたい3〜4ヶ月。伊勢丹で古着を売るということは、商品取扱いルールなどを1から理解していただかなくてはならないので、準備にとても時間がかかるんです。検針や品質表示タグをつけることなど、古着の世界ではほぼしないことなので、そこへの理解を得ることは難しかったです。店頭でも建物の構造的な部分や装飾の規制など、さまざまな壁はありますが、実際のディスプレイを持ってきていただいたりと、最大限にショップの世界観に近づけたいと思っています」
現在ポップアップを行っているのは、他のヴィンテージショップからも注目を集めている名古屋の〈Witch〉。アメリカの西エリアからオーナーの三宅さんが今着たい服を買い付け、主に1900〜1990年代の服が並ぶ。このオファーが来たときには「イタズラかな?」と思ったそう。
「東京のほうでヴィンテージの期間限定ショップなどが増えているというのは聞いていたけど、自分には関係ないと思っていたんです(笑)。今回、伊勢丹さんでポップアップをやるにあって、どんなお客さんが来るか想像がつかなくて。だけど、その見えないお客様に合わせるのでなく、まずは〈Witch〉らしいラインナップでやってみようと思い、実際のショップそのままのセレクトになっています。1枚で主役になるものや変形アイテムが得意なほうで、『どうやって着るの?』って商品もたくさんあるんです。でもそれをお客さんと相談して、なんとか着ようって考えるのが楽しい。『かわいいけど、誰が着ても変だな』って買い付けたわたしが思うものでも、シンデレラのガラスの靴みたいにぴったり合う人がいるんですよね。そんなときは『待ってました!』って嬉しくなっちゃいます。今回のショップでも、そんな出会いがあったらいいですね」(三宅さん)
〈Witch〉のポップアップショップは12/5(火)まで。
運命の1着を探しに、ぜひ足を運んでみてください!
伊勢丹新宿店本館2階=TOKYOクローゼット/リ・スタイル TOKYO
03-3352-1111(大代表)
Instagram: @restyle_tokyo_isetanmitsukoshi
Text: Sonoko Tokairin Photo: Kanna Takahashi