「アクセや小物を手作りして売りたい」「自宅で料理サロンを開きたい」など、好きなことの延長でスモールビジネスを起業したり、ライフワークになるような兼業をしてみたいと憧れる人は多いはず。
新しいことにチャレンジしたいけれど、夢に近づく第一歩をどう踏み出せば良いかわからない女性に向けて東京大学を卒業後、外資系企業を経て、農家での経営改善が話題となっている、“改善のプロ”・佐川友彦さんに考え方のコツを聞きました。
第2回目のテーマは「習慣化」。目標に向かって努力を続けるための習慣化術とは? 前回の「小さい目標に夢中になろう、なりたい自分への補助線の引き方」も合わせてチェック
目標に向かって努力を続けるための習慣化術とは?スモールビジネスのススメ vol.02
●習慣化するためにトリガーと報酬を設定しよう。
目標に向かって努力を続けるには「習慣形成」が鉄則。3つの要素があげられます。
まずは「引き金」。物事を始める“きっかけ”を決めましょう。思いついたらやろう、では忘れてしまうことが多いです。毎日同じ時間にSNSの投稿をしたり、夜寝る前にその日の成果を書き溜めていくなど、パターン化することが有効です。
行動ができたら「報酬」の設定です。人は嬉しいことがあれば続けたいと思います。どういうことがあれば習慣を続けたいと思うか、キーになるものを自己分析してみてください。続けるための燃料を常に獲得するということですね。
“達成感”が原動力になる人もいますし、好きなものを買うなどの“ご褒美”が効く人もいます。また“承認”してもらえたほうが続けやすいなら、報告する相手を見つけて褒めてもらったり、SNSで定期的に報告するとか、自分にとってのアメを設定してあげるとよいと思います。
●行動は定期的にチューニングせよ
それでも行動が続かない場合は、その行動自体が正しくない可能性があります。そのために必要なのが「行動の見直し」です。ダイエットにしても勉強にしても、最初のやり方がベストだとは限りません。もっと自分に合ったやり方はないか?と見直し、ブラッシュアップしていくことが得策です。
良い習慣化とは、考えずとも自然と体が動くようなものです。自分にプレッシャーを課して続けていく追い込み型の習慣継続もありますが、それは心に依存するもの。気持ちに頼らず、自動的に続けられるようなものが理想です。
たとえば、チェックリストを作り、達成する度に項目を消していくことで、自分の成長を実感するのも効果的でしょう。
人には、同じことを継続することに心理的な喜びを感じるメカニズムがあります。そこをうまく使ってあげて、慣性の法則が働くところまで出来るようになるとゴールは近いです。
●結果よりプロセスを。続ける自分を褒めてあげる
こうした習慣化において何より大切なのは、習慣を手に入れた自分を好きになることです。結果よりも継続を重視して、続ける自分を褒めましょう。
目標を達成できたかではなく、目標に対して努力し続けられたかを優先します。たとえば「1年以内に開業資金を50万円貯める」としたものが、結果的に30万円だったとしても、そのまま続ければ1年後には達成できているはずです。夢や目標に締切はありません。期限を少し延ばしてでも、自分らしいゴールを優先してください。得られる満足感は格別です。
習慣形成は3ヵ月でひとサイクルと言われています。まずは3ヵ月で実行可能な目標を設定しましょう。また継続するにはインプットを怠らないことも大切です。常に新しい情報を仕入れて、こういうやり方もあるんだ、周りに頑張っている人もいるんだ、と意識することも大切です。
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佐川 友彦
1984年生まれ。東京大学農学部、同修士卒。外資メーカーDuPont社の研究開発職を経て、2014年9月より栃木の阿部梨園に参画。阿部梨園では代表阿部の右腕業として、経営管理、企画、経理会計、人事労務など、経営に関するオフィス機能の全てを担当。その改善実例300件を公開するクラウドファンディングを実施し、300人以上から約450万円の支援を集めて話題を呼んだ。現在は、経営コンサル等を行うファームサイド株式会社を起業。2020年9月、ダイヤモンド社より『東大卒、農家の右腕になる。小さな経営改善ノウハウ100』を出版。
Illustration:Hiroaki Seto Text: Mariko Kojima Edit: Karin Ohira