幼い頃から聴いている曲や生き方を教えてくれた曲。最近気になっているミュージシャンなど。2020年のいま、音楽を語る上で欠かせない敬愛するアーティストと好きな曲を聞きました。
演出家・根本宗子さんがこの世で一番好きな音楽etc. いま、一番好きなミュージシャンを教えてください!
加藤マニ
アーティスト
6EYES
アルバム
『BLANK IN BLACK』
10年経っても目が離せない
今一番ライヴが観たいバンド
いくら当時夢中になったと言えど10年前の音楽となると、賞味期限切れを起こしているものも少なくない中、6EYESはあらためて別格でした。2008年の『ブランク・イン・ブラック』は、今年の作品と言われても、80年代の作品だと言われても納得できそうな色褪せない衝撃があります。ヒリつくようにクールな部分と、地方都市の駅前でひっくり返っている酔っ払いのうわ言みたいなヌルッとした触感を併せ持つ存在はその後、異様に都会的なAORになったり、ラップバトルに出ていたり、予測不能な変遷を続けていくのですが、今、1周回って、あの頃の楽曲も鳴らされているらしい彼らのライヴを無性に観たいです。わたしはMVを作る時、いかにその音楽を人に伝わりやすくするかを考えますが、6EYESに対しては、わたしの何かで彼らを濁らせたくないという気持ちが勝ち、ビデオを作りたくない。そういう愛なんです。
『BLANK IN BLACK』
2008年にリリースされた1stアルバム『BLANK IN BLACK』。ダンサブルなロック・サウンドが詰まった10曲を収録。
シックスアイズ>> 2002年に名古屋で結成されたロックバンド。10月にゲストヴォーカルを迎えた新曲「激しい爆発」をリリースした。
🗣️
加藤マニ<br />
東京都青梅市出身。インディ、メジャーを問わず年間50本以上のMVを手がける。
太田莉菜
アーティスト
Bikini Kill
曲
「Rebel Girl」
90sから今も色褪せずクールな
ライオットガールのマニフェスト
15、6歳の頃だろうか、歳上のおねーさんにアレコレかっこいいコトやモノを教えてもらっていた当時「ビキニ・キルなくして90sガールズカルチャーは語れぬよ」と聞いてCDを買った。女の子たちの自立してかっこいいサマがぴったりと自分の気分に合わさって気持ちよかった。服装も真似たし、全部が好きだった。でもあれから15年くらい経った今の方が彼女たちのアティチュードが身に刺さる。「フェミニストはクールだよ」という、フロントマンのキャスリーン・ハンナを筆頭に掲げられた、第三次フェミニズムを象徴する「Riot Grrrl」のマニフェスト。今の女の子たちにも知ってほしい。カルチャー、音楽、ファッション、思想。それはかわいくて面白くて真剣でかっこよくてワクワクする、何歳になっても自分から切っても切り離せないものだと教えてくれたバンド。代表曲「Rebel Girl」が今日も私を元気づけてくれる。
『The First Two Records』
LPでリリースされた貴重な初期音源に加え、ライヴ音源なども含むアルバム『The First Two Records』。(Bikini Kill Records)
ビキニ・キル>> 90年代を代表するアメリカのガールズ・パンク・バンド。1997年に解散するも、2019年のライヴを機に再結成。
🗣️
太田莉菜<br /> <br />
10代の頃から数々のファッション誌でモデルとして活躍。現在は女優として映画やドラマに出演中。
根本宗子
アーティスト
シルク・ドゥ・ソレイユ
曲
「Jeux D’enfants」
同世代の仕事仲間と好きな曲を
共有できた喜び
私はシルク・ドゥ・ソレイユの『アレグリア』という演目のサウンドトラックがこの世で一番好きな音楽。中でも「Jeux D,enfants」という曲が大好きで、自分が芝居の台本を書く際は必ず部屋でこの曲を流しています。子どもの頃に初めて耳にした時、興奮の中にわびしさを感じ、宙に浮いた気がしました。先日、私の舞台の音楽を度々担当しているチャラン・ポ・ランタンの小春さんに電話をかけたら、呼び出し音でこの曲が流れて。思わずお気に入りの曲だと伝えたら、「私はこの曲を聴いてサンタさんにアコーディオンを頼んで、楽器をはじめたんだよ」と言われ、エモさの極みでした。同世代の私たちは、幼少時代にきっと同じタイミングでアレグリアを観て、感銘を受けた。そして時を経て一緒に仕事をするようになったのです。一人で異常な運命を感じました。なんせ「Jeux D,enfants」を知っている人に初めて出会ったのですから。
『Alegria』
人気公演『Alegria』のサウンドトラック(シルク・ドゥ・ソレイユ。ルネ・デュペレが音楽を担当。多様なジャンルの音楽が生まれる。
シルク・ドゥ・ソレイユ>> 1984年カナダで結成されたサーカス・エンターテインメント集団。芸術的なパフォーマンスで、世界を魅了。
🗣️
根本宗子<br />
19歳で劇団、月刊「根本宗子」を旗揚げ。12月に最新作『今、出来る、精一杯。』を公演予定。
誠子(尼神インター)
アーティスト
9mm Parabellum Bullet
曲
「The Revenge of Surf Queen」
高校時代から愛してやまない
永遠のロックヒーロー
9mm Parabellum Bulletとの出会いは高校3年生の頃。テレビで流れていたライヴ映像をたまたま目にして、ライヴパフォーマンスの激しさに夢中になりました。ファンになってから初めて買ったアルバム『VAMPIRE』に入っている「The Revenge of Surf Queen」はインストなのですが、聴いた瞬間に「音だけやのに超かっこいい !」と衝撃を受けて。MDに入れて、登下校中はもちろん、授業中にもこっそり聴いてました(笑)。この前、霜降り明星の粗品と音楽の話をしていたら、粗品は高校時代にバンドでこの曲をカバーしたらしく。楽屋で一緒に聴いてめちゃくちゃ盛り上がりましたよ。私はとにかく、滝善充さんのギターが大好きなんです !彼が楽しそうに弾いている姿を見ていると元気をもらえるし、私も楽しんで漫才しようって気持ちになれます。だから、9mmは私にとって永遠のロックヒーローです !
『VAMPIRE』
2008年10月にリリースされた2枚目のアルバム『VAMPIRE』。オリコンデイリーアルバムランキングでは初登場1位を獲得した。
キューミリ・パラベラム・バレット>>2004年に結成されたロックバンド。9月には通算8枚目となるアルバム『DEEP BLUE』をリリース。
🗣️
誠子(尼神インター)<br />
1988年兵庫県生まれ。2007年に相方・渚と尼神インターを結成。趣味は恋愛ドラマ観賞と女磨き。
Text:Satoko muroga (RCKT), Momoka Oba