名作、怪作そろい踏み!唯一無二の表現を磨いて人間の輪郭に光をあてる。広くて深い現代日本文学の海から編集部セレクトの小説と随筆を紹介。全32冊から今回はNo.10からNo.12の本をピックアップ。#32冊の現代日本文学
🎨CULTURE
GINZA編集部が32冊の現代日本文学をレコメンド vol.4|古川日出男『おおきな森』etc.
10
『おおきな森』
古川日出男
失踪中の高級娼婦を探す小説家で探偵の坂口安吾(「第一の森」)。記憶を持たないガルシャは殺人事件に遭遇(「第二の森」)。3人の秀才に導かれて手記を綴る“私”(「消滅する海」)。東北、京都、南米。戦前と現代。三者の軌跡が交差する。(講談社/¥4,000)
11
『ファーストラヴ』
島本理生
悲惨な結末には相応の原因があり、それは深く潜るまで把握できない。父親を殺めた大学生の環奈は「私を治して」と懇願。容疑者の半生を執筆する臨床心理士の由紀は、本人や周囲と対話を重ねるうちに少女を覆う闇を浮き彫りにしていく。(文藝春秋/¥710)
12
『人間』
又吉直樹
絵や文章を生業にする永山のもとに届いた1通のメール。若者として若者の群の中で暮らした遠い時間、不穏な騒動、揺れて変容する人間の顔貌。記憶とは一体誰のものなのか?小説家・又吉直樹の3作目にして代表作ともなった長編。(毎日新聞出版/¥1,400)
Photo: Natsumi Kakuto Text: Mako Matsuoka Collage: Takashi Tanaka