待ってました、本編再開! 二夜の特別編を経て物語が再開した『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』。川合(永野芽郁)と藤(戸田恵梨香)の活躍が観られる……と思いきや、プライベートを中心に描く5話を振り返ります。
『ハコヅメ』5話「幸せそうなことに背中を向けて仕事をするのが私たちだから」

合コン! 一目惚れ! そして救助講習?
交番を訪れるカップルに憧れの眼差しを向ける川合(永野芽郁)。交番所長・伊賀崎(ムロツヨシ)いわく「恋愛・結婚を捨てたロボコップ」だが、本人は「そんなもんになった覚えはない」という藤(戸田恵梨香)とともに合コンへと繰り出すことに。非番返上の公務続きの直後だが気合を入れて合コンに向かう二人。しかし隣の個室にはなんと徹夜捜査明けに看護師との合コンに挑む刑事課の源(三浦翔平)と山田(山田裕貴)が。両者とも、漏れ聞こえる相手の話が気になって目の前の相手に集中できない。
警察官であることを盛って話す男性陣と、ひたすら隠す女性陣にやはりこの職業の男女差を感じずにはいられないが、そんな中で呼び出しがかかり、結局両者とも合コンはうまくいかずに終わる。その後、睡眠をとらないまま火事現場に急行した川合は、現場でふらついたところをお姫様抱っこで助けてくれた消防士・武田(小関裕太)に恋をする。
後日、町山署の救助講習に武田が訪れる。川合をなんとか武田に近づけようと藤をはじめ、源、山田も応援するが、川合の恋心など知らない伊賀崎が邪魔をしてしまう。このドタバタ感は1話の「警察術科訓練」を思い出させ、真面目な訓練の場×それどころじゃない川合のドキドキ×川合の様子に照れてしまう町山署の面々の心の声の畳み掛けでつい笑ってしまう名シーンの再来となった。
好きな人に背を向けて走る仕事
武田と無事連絡先を交換した川合。デートに誘われ、藤に「今日はどうしたらいいか」と相談しながら待ち合わせに向かう。途中でこれまで何度か関わっていた三宅夫婦と遭遇する。認知症の夫(小野武彦)と、それを甲斐甲斐しく世話する妻(朝加真由美)だが、ふだんと様子が違う。そんな三宅夫婦の様子がだんだん気になってきて、デートを中断して二人を探しに走る川合。実は追い詰められていた妻が夫とともに心中しようとしていたのだった。同様に二人の異変に気づいた藤がすでに声をかけていて二人は助かる。
今話の冒頭、「クリスマスには彼氏できるかな〜」と夢見る川合に「幸せそうなことに背中を向けて仕事をするのが私たちだから」と藤が言い放った。その言葉どおり、川合はちょっとした違和感のために初デートの途中で仕事に向かった。そして「公務が入ったら好きな人に背中を向けて走らなきゃいけない仕事だって藤さんといてだんだんわかってきました」と藤に告げる。そして川合は毎回恒例の父への手紙のモノローグで「もう普通の女の子には戻れないと思います。でも警察官の仕事はそれ以上に得るものがある。そう思えたのは藤さんのおかげです」とも語る。物語再開直後の5話で、警察官の日常どころかプライベートをたっぷりと描いた『ハコヅメ』。しかしそれが翻って、川合に芽生えた警察官としての使命感を際立たせた。
同期の登場でもうひとりの不在が際立つ
勤務後に川合と牧高(西野七瀬)が寮で飲んでいるところに藤と、彼女の同期である桃木(臼田あさ美)、松島(大西礼芳)がやってくる。二人は「君が川合か」「なるほどなるほど」と声をかけ、やがて寝落ちした川合を前に、ここにいないもうひとりの同期に「空気感が似ている」と話し合う。さらに終盤には、酔った藤を部屋に連れて行った川合が、藤の同期4人の写真を見つけてしまう。いよいよ、藤が交番にやってきた理由であるその同期の物語が動き出しそうな気配だ。
ちなみに、今回認知症の夫として登場した小野武彦といえば、藤も河合も通ってこなかった『踊る大捜査線』でスリーアミーゴスとして活躍していたその人である。二人にはぜひ今からでも『踊る』を履修してほしいものだ。
脚本: 根本ノンジ
演出: 南雲聖一、丸谷俊平、伊藤彰記
出演: 戸田恵梨香、永野芽郁、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬 他主題歌: milet「Ordinary days」
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Writer 釣木文恵
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
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Illustrator たけだあや
イラストレーター、ときどき粘土作家。趣味の多い京都府出身。
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