1月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする映画をご紹介。
G’s FILM REVIEW 濱口竜介監督の短編集『偶然と想像』etc.

デザイナーを目指しロンドンで一人暮らしを始めたエロイーズは、夢の中でポップ・カルチャーの中心地だった60年代のソーホーにタイムリープ。歌手を目指すサンディと身も心もシンクロし、現実との境界が曖昧になっていく。けれど、華やかでまばゆい過去には、いまだに続く男性支配の構造の悪夢が潜む。『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督の夢と搾取にまつわるサイコホラーは、ノスタルジーに浸りすぎることに警鐘を鳴らす。
全国公開中。
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『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督がエリック・ロメールの『パリのランデブー』から着想を得て制作したという3つの短編集。「偶然」をテーマに映し出されるのは、観ているこちらが戸惑うほど掘り下げられる人々の対話。そこには突き詰めてもわかりあえない可笑しみと悲しみ、それでもなおスクリーンの中にいる人とほんの少しだけ何かをわかちあったような高揚がある。第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞。
全国公開中。
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『ユンヒへ』
韓国の地方都市に住むシングルマザーのユンヒのもとに、20年以上連絡を絶っていた小樽に暮らす友人ジュンから手紙が届く。手紙を盗み見た高校生の娘セボムは、強引に母を旅行に誘い、小樽へやってくる。監督は『最悪の一日』のイム・デヒョン。時代や境遇から閉じ込めることしかできなかった初恋を胸に生きるユンヒとジュンの思いと、2人を取り巻く人々の優しさに触れ、離れていても心に寄り添い、連帯することについて考えを巡らす。
全国公開中。
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Recommender: 小川知子
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