『ベイビー・ドライバー』
『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(07)や『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(10)などでフル回転のアクションとユーモアセンスを披露してきたエドガー・ライト監督最新作。ケヴィン・スペイシー扮する大物犯罪者が組織する強盗団の逃走担当、若き天才ドライバー、ベイビーの物語。幼い頃に遭った交通事故の後遺症で耳鳴りが止まない彼が、常に聴いているiPodから流れる音楽と物語のシンクロ率が笑えるほど高く、エアミュージカルとして楽しめる。PRADAのキャンペーンモデルやミュージシャンとしても活躍するベイビー役のキュートなアンセル・エルゴートにも注目。8/19より新宿バルト9ほか公開。
『俺たちポップスター』(17)
ジャド・アパトー製作、『サタデー・ナイト・ライヴ』でおバカな下ネタや時事ネタをHIP HOPで披露し、ブレイクしたコメディグループ、ザ・ロンリー・アイランドが出演、脚本、監督、製作。NASやアッシャーが「影響を受けた」と熱く語るほど伝説を残した幼なじみ3人組のグループ「スタイル・ボーイズ」だが、フロントマンが「コナー4リアル」としてソロデビューをしたことから転落していく様をフェイク・ドキュメンタリーのスタイルで描く。証言者として登場する豪華ミュージシャンはもちろんだが、カメオ出演しているエマ・ストーンやジャスティン・ティンバーレイクなどの扱いの酷さもおかしい。新宿シネマカリテほか公開中。
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『ハイジ アルプスの物語』(15)
高畑勲と宮崎駿による“ハイジ”はもう「家庭教師のトライ」のCMでよくわからないイメージになってしまったが、本家スイスが21世紀版として製作したのがアラン・グスポーナー監督の本作だ。超名作児童文学なだけあって、内容を知っているのに、お嬢様クララの話し相手として都会に連れてこられてホームシックにかかるハイジに胸が苦しくなるし、美しいアルプスの風景の中で走りまわる姿に心が解放されていく。大人の都合で振り回されても自分の気持ちに正直だったあの日に立ち返ることができる。ブルーノ・ガンツ演じるアルムおんじの過去やペーターの子どもらしさも、きれいごとだけに終始せず原作に忠実。8/26より全国公開。
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