この女性は本当に娘を殺したのだろうか『サントメール ある被告』

『サントメールある被告』

フランス北部の町サントメールで生後15カ月の娘を海辺に置き去りにし、殺人罪に問われているセネガル出身の女性ロランスの裁判を若き女性作家ラマは傍聴する。実際にあった裁判をベースにした本作の法廷シーンは、監督アリス・ディオップが傍聴した裁判記録をそのままセリフにしている。白人だらけの法廷で、セネガル系ルーツのディオップとラマの揺れる視点は観る者と連帯し、倫理観さえも揺るがし、ロランスの苦しみへと寄り添うのだ。