ミニマル・アートの代表的な作家の個展『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』が開催中だ。彫刻作品とともに詩も展示され、作家の表現世界の幅広さに触れられる。「DIC川村記念美術館」にて、2024年6月30日(日)まで。
カール・アンドレの“場としての彫刻”とは
「DIC川村記念美術館」にて、立体作品と詩による表現が展開
2024年1月に亡くなったカール・アンドレは、同一の形に加工した木や石を整然と並べた作品で知られている。ロケーション(場所性)に着目し、床に直接置いて空間に作用する作品の制作に取り組んだ。従来の「彫刻」の概念を超えて、もはや建築的でもあるその表現は、60年代アメリカのミニマル・アートの潮流の代表例として知られる。
彫刻ほど有名ではないが、アンドレは詩作にも力を注いだ。作品であるタイプライター用紙の上には、独特のバランスで単語が配置されている。そこでは、「意味」以前の視覚的な構成としての表現を実験しており、読む者はそこに音や内容を重ねることでさまざまな印象を抱くのだ。
「DIC川村記念美術館」で開催中の展覧会では、代表的な彫刻作品とともにこうした詩も展示。離れて見える二つの形式には、空間や構造的な認識へのアプローチという作家の試みが通底している。
天井が高く広々とした館内には、決まった順路はない。彫刻と詩とがともに作り出すある種の重力を、全身でひしひしと感じてみたい。
なお、会期中は関連イベントも複数開催。ラッパーの環ROYによるパフォーマンス(4月12日(金)*予約不要)や、グラフィック・デザイナー山口信博のワークショップ「カール・アンドレ句会」(6月8日(土)*要予約)なども興味深い。こういった催しに参加するのも、広義の「鑑賞」になるだろう。
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【カール・アンドレ 彫刻と詩、その間】
会期_開催中〜2024年6月30日(日)
会場_DIC川村記念美術館
住所_千葉県佐倉市板戸631
時間_9:30〜17:00(入館は16:30まで)
*月曜休館(4月29日と5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)は休館
入館料_一般1,800円、学生・65歳以上1,600円、高校生以下無料
Tel_050-5541-8600(ハローダイヤル)
Text_Motoko KUROKI