画家ロビン・F・ウィリアムズの個展『Undying』にの新作絵画が並ぶ。映画的表現を題材に、緊張感ある色合いでジェンダーの構築などが探られる。2024年6月22日(金)まで。
ロビン・F・ウィリアムズの日本初個展が「ペロタン東京」にて開催
インティマシーの心理を絵画で探る
ブルックリン在住のロビン・F・ウィリアムズは、感覚的で曖昧な女性像をモチーフとしてきた。油彩やエアブラシのほか、マーブリングやキャンバス自体の染色など、そのオリジナルな手法はもとより、SNSや映画といった現代的メディアでの女性性の表現に向けられた鋭い観察眼が評価されている。
開催中の個展『Undying』に並ぶのは、ベッドシーンを彷彿させる絵画。物語と構図とが感情に訴えかける力を、ウィリアムズは映画の中からすくい上げた。作品では、儚い性的な交流の余韻のみならず、慣習的に採用されてきたパターンへの注意喚起もなされている。たとえば、覆いかぶさるパートナーの下で仰向けになる女性、肩越しのショットなど、画面の主役である女性たちが、そのシーンに大胆に踏み込んだ視点から捉えられている。その一方、ウィリアムズはベッドの中の女性が一人で思考や感覚の中に沈澱する様子も描く。こうした作品では、彼女たちに影響しているのはどんな力なのかを問うているようだ。
会場にかけられたペイティングでは、色の組み合わせが効果的に使われている。朱色と青緑色、赤と緑などが隣り合い、激しいコントラストを見せる。しかし、こうした捕色同士は、重なった途端に灰色となって色彩を消してしまう。つまりウィリアムズが描く世界は、ほんの一筆で崩壊する視覚的な淵に佇んでいるのだ。そのあやうさこそが、親密でエロティックな場面の"揺らぎ"を表しているとも言えるかもしれない。『Undying』で鑑賞者の前に現れるキャンバスというスクリーンは、映画のファン・フィクションのようでありながら、スリルと泡沫の夢を忍ばせている。
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【ロビン・F・ウィリアムズ個展『Undying』】
会期_開催中〜2024年6月22日(金)
会場_ペロタン東京
住所_ペロタン東京 | 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
時間_11:00〜19:00(日月休廊)
Tel_03-6721-0687
Text_Motoko KUROKI