名シーンだらけの最終話!『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系月曜夜10時〜)11話(最終話)を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。10話のレビューはこちら。
杉咲花×若葉竜也『アンメット』名シーンだらけの最終話を振り返らせて!
これは、明日に繋がる名作の誕生である
考察『アンメット』11話(最終話)
ドラマティックにしない
からこそ伝わるもの
『アンメット』第1話を観たときにまずハッとしたのは、杉咲花のそばかすがしっかりと映っていることだった。そのそばかすがとても魅力的に見えた。キャストの肌の質感ひとつとっても、これまでのドラマとは違うものを作るのだという『アンメット』チームの意気込みが感じられた。その意気込みを、全11話の隅から隅まで神経の行き届いたドラマという形にして視聴者に届け、『アンメット』は幕を閉じた。
最終回を観て驚いたのは、前週に発売された『モーニング』に掲載されている原作マンガの最新話と、ほとんど同じ展開が描かれていたこと。これは、原作者側とドラマの制作陣とが密接に話し合いを重ね、信頼関係を構築していないとできないことだ。
はからずも原作とドラマを見比べることになって、最終話の「劇的にしない」描写が印象に残った。たとえば津幡(吉瀬美智子)が助手を完璧に務め上げていることに何の説明もない。星前(千葉雄大)が左手を右手と同じように使って見事にサポートしたことも、手術後にさらっと成増(野呂佳代)が「左手使ってたね」と声をかけるだけだ。三瓶友治(若葉竜也)が0.5ミリ以下というたいへん細い血管の吻合を訓練していたことは度々描かれていたけれど、手術の場で三瓶と同様のスキルを発揮した大迫(井浦新)も同じように訓練していただろうことは、過剰に表現されない。
このドラマの中で、川内ミヤビ(杉咲花)やその仲間たちは毎日を生き、日々業務や練習を重ね、その結果一時期はできなかった手術の助手ができるようになったり、ずっと訓練していた左手が巧みに使えるようになったりした。そのことが、本当のことのようにリアルに、最低限の言葉と行動で表現されていた。
Edit_Yukiko Arai