GINZA編集部が、新刊3冊をレビュー!今月何を読もうか迷ったら、こんな本はいかがでしょう?
8月に読みたい3冊
今月のGINZA編集部レコメンド
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『マリリン・トールド・ミー』
山内マリコ
コロナ禍が始まった年に大学に入学した杏奈。閉塞感に押しつぶされそうになっていたある日、時空を超えてマリリン・モンローから電話がかかってくる。彼女のエピソードを集め始めた杏奈は、主に男性視点で書かれてきた「セックス・シンボル」の人生を再構築したいと思うようになり──現代の日本に生きる女子と伝説のハリウッドスターの交錯がめぐりめぐって周囲の人々の心にも思考の種を植えつける。装丁も素敵な一冊。
『若い男/もうひとりの娘』
アニー・エルノー
冒頭に置かれた《もし私がそれを書かなければ、物事は完遂しなかった/体験されただけにとどまった》という文はエルノーのすべての作品に通ずる。30歳近く年下の男性と過ごした数年を綴った「若い男」、自分が生まれる前に6歳で亡くなった姉に語りかけるスタイルの「もうひとりの娘」の二編を収録。なまなましさと乾いた諦念が混在する潔い文体に引き込まれる。ノーベル文学賞受賞作家の自伝的最新邦訳書。