文化的活動の担い手として波に乗る方々に、今年これまでに触れた中で印象的な作品ベスト3を聞いた。以前からある本や映画でも、読んだり観たりしたのがこの半年ならOK!独自の視点に興味津々だ。短期連載「2024年上半期のマイベストカルチャーを教えて!」第9回は、モデル・俳優のTSUGUMIさん。
TSUGUMIさん、2024年上半期のマイベストカルチャーを教えて!
お笑い
「かが屋の大カロ貝展」
去年に引き続き、大好きなかが屋の単独ライヴへ行きました。お二人はとにかく芝居が上手い!とくに、加賀さんが演じる多種多様な少年像と、賀屋さんが演じる「母さん」というより「母ちゃん」な母親像が好き。「こんな人いるなー」と、つい頷いてしまいます。さり気ない所作や、言葉のニュアンスが絶妙で、クセになるんですよね。彼らのネタを観ていくうちに、いつしか、それぞれのキャラクターにとっての忘れられない記憶を一緒に思い出しているような感覚になって、全登場人物を愛さずにはいられなくなりました。いつも転げるくらい笑っているのですが、劇場を出るときにはほっこりとした温かい気持ちが残ります。
本
『蛸足ノート』
私は、いろいろな人の考え方をさまざまな角度から知りたいという気持ちがあり、普段からよくエッセイを手に取ります。書店で表紙が目に留まり購入した『蛸足ノート』は、著者である穂村弘さんの日常が描かれた一冊。すべて見開き2ページの短い文章で構成され、彼の147のエピソードが展開されています。親しみやすく身近なものを取り上げているのに、「ゴキブリが恐ろしくてGとしか呼べない」や、「黒ジャケットを着て海に行ってしまう」など、お人柄が浮かび上がってくるような文章が好みでした。コミカルで面白い出来事だけではなく、心温まるお話や感心してしまうエピソードに加え、「愛とはなにか」という壮大なものまでバリエーションも豊か。読み進めていくうちに、前から知っている気の置けない友人が私に話してくれているような感覚に。もしもいつかお会いすることがあったら、思わず「ホムラさん」と呼びかけてしまうかも。
Photo_Hikari Koki(book) Text_Fumika Ogura