長く着られる飽きのこないお気に入りのコートに似合うのは、未来のクラシックになりうる繰り返し読んでも古びない小説だ。アウターの大きなポケットは読みかけの文庫本の定位置になり、もう行き場に困ることもない。記憶に残る1冊とスタンダードとなる1着。時間の重みを感じさせる“未来のカノン”に、豊﨑由美さんの選書を通して出合う。#本とコート、未来のカノン
〈エイトン〉とスティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』。本とコート、未来のカノン vol.4

『エドウィン・マルハウス』
スティーヴン・ミルハウザー
厚いモールスキンのキャメルカラーコートは、ラグラン風の肩が落ちたシルエット。デビュー4年、ジェンダーレスなスタイルで男女問わず評価されている〈エイトン〉。少年のように少しやんちゃに緑のニットケープとキャップを合わせて、みずみずしく、それでいてダークで濃密な子ども時代に思いを馳せる。
コート ¥190,000(エイトン | エイトン青山 Tel: 03-6427-6355)/ニットケープ ¥54,000、パンツ ¥98,000(共にプラン C | パラグラフ Tel: 03-5734-1247)/ニット ¥22,000(バトナー Tel: 03-6434-7007)/キャップ ¥7,000(バブアー バイ アレクサチャン | バブアー 渋谷店 Tel: 03-6450-5993)/シューズ ¥37,000(ピッピシック | RHC ロンハーマン Tel: 0120-008-752)
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豊﨑由美
『週刊新潮』『婦人公論』をはじめとするさまざまな媒体に連載を持つ1961年生まれのライター、書評家。主な著書に『ガタスタ屋の矜持』『まるでダメ男じゃん!』『ニッポンの書評』、大森望との共著『文学賞メッタ斬り!』シリーズなどがある。
Book select&review: Yumi Toyozaki Photo: Naoto Kobayashi, Hiromi Kurokawa Styling: Sumire Hayakawa(KiKi inc.) Hair&Make-up: Hiroko Ishikawa Model: Katya G. Text&Edit: Aiko Ishii