身につけると甦ってくる、あのとき熱狂したライヴの情景やサウンド。ミュージシャンを愛するあの人のスペシャルな私物マーチをご紹介します。
伊賀大介のとっておきマーチ。PixiesなどのミュージシャンTシャツ
音楽が好きだから♡
伊賀大介
スタイリスト
💘
Pixies
Kurt Cobain
Hole
Mudhoney
PUZZLE PUNKS
THE TIMERS
Lollapalooza
のTシャツ
仕事着の定番ジャンプスーツで現れた伊賀大介さん。上半身は脱いで腰に巻き、年季の入ったピクシーズのTシャツを見せている。
「段ボール箱にしまい込んでめったに出さないものも含めると、3000枚ぐらい持ってて。そのうちミュージシャンTが400〜500枚あるんじゃないかな。1枚も捨てられないんです」
中3の頃から買い集めるようになったが、まず音楽を聴くことから入るのが伊賀さん流。
「僕らの世代では、楽曲を知らないバンドのTを着るなんてあり得なかったから。自分はこういう音楽が好きだ、と主張するためのツール。今の若い子の推しの缶バッヂと同じですよ。ピクシーズは僕にとっては世界最高のバンドだしロック史的にも超重要。歌詞もすごくよくて、いまだに日常的に聴くぐらいだから今日はこれを選びました。でも2000年頃からは歌手やグループを知らずに着るのも、逆にアリになったかな、と」
早逝したニルヴァーナのカート・コバーン、その妻コートニー・ラヴが属するホール、シカゴのロックフェス、ロラパルーザの90年代もの……失礼ながらどれもヨレヨレだ。
「新品だと恥ずかしいので、首の部分を手で引っ張ったり、体育座りした膝に裾をかぶせて伸ばしたり、わざとダルダルにするんです。レアなものは値段が高騰しているけれど、自分はTシャツにそんなにお金をかけるつもりはない。だから昔買ったものを大事にとって置いています。このピクシーズは、6歳の息子がもう少し大きくなったら着せたいな」
🗣️
いが・だいすけ>> 1977年東京都生まれ。ドラマや映画、舞台の衣装、アーティストやタレントのスタイリングを数多く手がける。写真家・佐内正史とデザイナー丹野真人とともにTシャツブランド〈GASATANG〉主宰。
Photo_Kaho Okazaki (SIGNO) Text: Mari Matsubara