1913年にミラノで創業した〈プラダ〉。ファッションのみならず、アートや映画、建築など様々な分野でクリエイティビティを発揮してきたブランドを大解剖する展示『プラダスフィア Ⅱ』が、上海「START星美術館」にて公開中だ。2024年1月21日(日)まで。
👗FASHION
上海で開催中の〈プラダ〉の核に迫る展覧会
過去のルックや、映画、建築などのあらゆるプロジェクトから110年の歴史を辿る
都会的だけど無骨さもあり、洗練されているけどインダストリアルの香りが常にする。〈プラダ〉の魅力は多面的だ。上海の展覧会は、そんなブランドの世界を、アーカイブやキャンペーンなどいくつもの切り口から探求していく。2014年に初開催された本展の2回目に際し、共同クリエイティブ・ディレクターのミウッチャ・プラダとラフ・シモンズが自ら企画した。美しい宝石のファセットひとつひとつに光を当てるように、ブランドのさまざまな魅力が丁寧に描かれる。
会場のコンセプトは、物にあふれた「magazzino (倉庫)」。
ショー映像が流れる「インフィニティ ランウェイ」。ブランドの世界に一気に没入してしまう。
もともと〈プラダ〉の大ファンだったシモンズが選りすぐった、創業から現在までのルックが並ぶ。展示される200点ほどのうちには、30年以上公開されていなかった貴重なものも。
ミウッチャの祖父と弟が開いた“プラダ一号店”「フラテッリ・プラダ」をイメージした空間。1920年代の店内壁画も再現されている。
〈プラダ〉の靴は、いつの時代も羨望の的。「グリーン ストア」と名付けられたコーナーでは、象徴的な店舗ディスプレイの一部を模し、年代順にまとめたシューズの代表作を展示する。
サステナブル素材「Re-Nylon」の開発における取り組みを紹介。雑誌『ナショナル ジオグラフィック』とともに制作したムービーを背景に、再生ナイロンを使用したラインのルックが集まる。
「ヴィトリン」では、ショーケースの中にメゾンの名作バッグ20点が整然と収められている。「ガレリア」から「クレオ」まで、美しいフォルムと完璧なクラフツマンシップが、その時々の流行を作ってきた様子が窺える。
「FONDAZIONE PRADA」のスペースでは、〈プラダ〉のアート財団が開催してきた30件の展示会について解説。ファインアートを通じて、映画、音楽、科学、技術にまで至る文化との関係性を明らかにする。
メインホールを抜けると、ベルベットと大理石に包まれた「プラダスフィア カフェ」に到着。コーヒーやカクテルに、イタリアンの軽食を楽しめる。
「START星美術館」が保存する列車車両内に設置されたギフトショップ。本展覧会に合わせて出版されるカタログブックも販売。
共同クリエイティブ ・ディレクターとして革新的な試みを続けるミウッチャ・プラダ(中)とラフ・シモンズ(左)。右は、展示会場づくりに参加したデザインスタジオ「2×4」のマイケル・ロックス。
過去のコレクションを振り返るだけでなく、ブランドの核であるクラフツマンシップを照射し、そしてアートや建築、映画など実に多様なプロジェクトも展示する。本展から見えてくるのは、知的活動としてのファッション、文化的主体としてのブランドのあり方だろう。
ℹ️
【PRADASPHERE Ⅱ】
会期＿開催中〜2024年1月21日(日)
会場＿START星美術館
住所＿上海徐匯区瑞宁路111号
時間＿10:00〜17:00(最終入場16:30)
＊月曜閉館
Tel_021-33632872
＊入場無料
Text_Motoko KUROKI
