〈キコ・コスタディノフ〉が東京に初めて旗艦店を構えた。インスタレーション空間で衣服と出合う新たな試みに注目が集まる。
アートとファッションの関係を探る「キコ・コスタディノフ 東京」
ブランド初の旗艦店にライアン・トレカーティンの作品が展示
ブルガリア出身のデザイナーが手がける〈キコ・コスタディノフ〉。2016年にファーストコレクションを発表して以来、打ち出してきた構築的な衣服は確実にファンを増やしてきた。これまで、セレクトショップでしか見かけることがなかったブランドがクリエーションの延長線上として、日本に初めてコンセプトストアをオープン。“原宿”というエネルギー溢れる土地で、コスタディノフのミニマルな美学に都市が及ぼす影響から、どんな視覚芸術が生まれるのか探るという。どうやら実験的な空間になる模様。
場所は、原宿駅から徒歩10分ほど。大通り沿いのビルの一階のスペース。白を基調とした室内には、コンクリートの壁が設けられ、外に向かって強い存在感が放たれる。
まるで、ギャラリーのようなワンフロア。デザインは「YUSUKE SEKI STUDIO」が担当した。「創造性と変容を育む場として機能する白紙のキャンバスを作り出しました」と、代表の関祐介。あらゆる可能性を感じるシンプルな造りに仕上がっている。
この店舗の目的は、アートとファッションの関係性の探求。定期的に国内外のアーティストを招待し、没入型のインスタレーションを行うという。
早速オープンと同時に始まったのは、ライアン・トレカーティンの展示。
トレカーティンがテーマとしているコミュニティベースの芸術的アプローチを表現した本展は、2部構成で展開される。
第一段階である現在の店内は、制作途中の状態を想起させる“保留中”の場所に。フォトリアリスティックなレンダリングプラン、素材のプレースホルダー、使用済みの足場、そのほかの建設資材などを組み合わせ、“下書き設定”ともいえるレンダーキュー中の店舗を作り出した。重要なのは観客がそのプロセスに触れること。夏に向けて発表を控える第二段階に向けて、制作のヒントになっていくという。
もちろん店内には〈キコ・コスタディノフ〉のウェアも並ぶ。
定番アイテムだけでなく、コラボレーションプロジェクトや限定モデルなど、ここでしか手に入らない特別なものまで。
突如東京に現れた刺激的な場所。コスタディノフの創造と気鋭アーティストがコラボレーションする瞬間をゆったりと堪能してみては。
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Photo_Daisuke Shima Text_Nico Araki