私たちはなぜドリス・ヴァン・ノッテンの作る服に惹かれるのか?彼のコレクションを見続け袖を通してきた人たちの、思い入れの深いパーソナルアイテムを通して、その根源を探ってみる。
愛用のドリス・ヴァン・ノッテン、見せてください! vol.1
飯田珠緒
スタイリスト
服を愛するデザイナーと美しいものを見たい人だけが集まるドリスのショーは、私にとって神聖な場所でした。後悔したくなくて、最後のメンズショーも弾丸でパリに飛んだほど。普段のワードローブは無地やモノクロばかりなのに、ドリスの服は不思議と冒険ができるんです。ラベンダー色の刺繡のガウンは2016年くらいのもの。フェイクファーのジャケットは2013年春夏に手に入れて毎冬着続けています。今回パリで着用したフェザードレスは、その思い出も一緒に忘れられない一着になりました。引退を耳にしたときは自分の正義を失ったかのように感じましたが、若い人とも関わって、錆びつかずにいろんなことをしてみたいという言葉を聞いて気を取り直しました。着る人のために作られた、純粋におしゃれを楽しませてくれるドリスの服は一生の宝物です。
Photo_Ayumu Yoshida Text_Aiko Ishii