22時に開ける冷蔵庫は明日からの元気をくれる宝箱だ。ほんのちょっとしたご褒美が入っている。
自分を励ますために、今日もまた扉を開ける。
焼き林檎+たっぷりバター 西村隆ノ介/くらちなつき「22時の冷蔵庫」vol.4

昔からフルーツが大好きだ。
家族みんなが好きだったから、母がよく買ってきてくれていた。
あの頃食べていたフルーツの中にはきっと高級なものもあったけど、全部を「おいしい!」と脊髄反射で叫びながら食べていた。おそらくあのとびきり甘くて粒の大きかった葡萄は、とても高級な品だったのだろう。
どのフルーツも好きだけど、この季節に特に好きなもののひとつは林檎。生で食べても焼いても煮てもジュースにしても、なんでも美味しい。
肌寒くなってくると恋しくなる味がある。バターをたっぷり纏った焼き林檎だ。
・林檎…一玉
・バター…10gくらい(お好みでたっぷり)
・レーズン…お好みで(穴に入るくらいの量)
林檎の種類は、その時の気分で選ぶ。
酸味がほしいときは紅玉。甘味がしっかりほしいときはシナノスイートや津軽。バランスがいいのはジョナゴールド。黄色い果皮の王林もさっぱり甘くて大好きだ。
まずは林檎の芯をスプーンでくり抜く。ちょっとだけ力がいるけれど、美味しいもののためだと思うと力が入る。この時のワンポイントが林檎にぐるっと竹串でぷつぷつと穴を開けておくこと。これをしておかないと、オーブンの中で林檎が大爆発を起こして悲惨なことになってしまう。
くりぬいた穴にレーズンと冷蔵庫から取り出したバターを詰め込む。
それをアルミで包んだらオーブンにイン。
180℃で20分ほど。
この20分が待ち遠しくも愛おしい。より美味しくいただくための大切な時間。
焼き上がったアツアツの林檎にナイフを入れる。とろりと溶けたバターとレーズンが流れ出す。バニラアイスを添えても最高のデザートになる。
すこし多めにつくって、明日冷やし焼き林檎も楽しもう。まだまだ明日もがんばれそうだ。
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くらちなつき
広告、ウェブ、雑誌、アパレルなどを中心に活動中のファッションイラストレーター。
主なお仕事にファッションブランド「KEISUKE YOSHIDA」とのコラボレーションなど。
instagram: @natsuki_kurachi