気候変動、ジェンダー、BLM、コロナ禍とさまざまな問題に直面している今、ヒーローや人気者のあり方も変わってきているようだ。放送作家・たむらようこさんに、これからの時代に求められる人物像を分析してもらった。
💭INTERVIEW
放送作家・たむらようこさんが語る「街場のヒーロー」|時代に愛されるこれからのヒーロー像とは? vol.3
性差や世代を超越した存在と
思い込みを貫く街場のヒーロー
思い込みを貫く街場のヒーロー
台湾のIT大臣オードリー・タンはあらためて言うまでもなく、コロナ時代のヒーローですよね。国民に等しくマスクが行き渡るよう官民の連携を率いただけでも十分ヒーローですが、中卒、IQ180、またトランスジェンダーであることを公言して自分らしい生き方を貫いているところが格好いいと思います。新しいタイプのヒーローだなと感じる最大のポイントは、世代間の分断をナチュラルになくしているところ。台湾に比べて日本のIT大臣は70代で使えない、と日本のマスコミが嘆いた時、氏はさらりと「年配には縦をつなぐ役割が、若い世代には横をつなぐ役割がある」と答えました。年配者の知恵は積極的に活用しようよと自然に考えられる人なのです。学歴も性別も世代もすべてを超越している点が、ニューヒーローたる由縁だと思います。
オードリー・タン(唐鳳): 1981年生まれ。12歳からプログラミングを始め、14歳で中学を中退。19歳で米国でソフトウェア会社を起業。35歳の時、デジタル担当として台湾史上最年少で閣僚入り。
あともう1人、お笑い芸人のブレーンとしても活躍しているプロデューサーの田村有樹子も挙げておきたいです。振り袖を着られなかった人たちのためにリベンジ成人式を企画し決行した人。「私は私」を貫く“街場のヒーロー”こそ、世界をじわじわと変えていく原動力なのかもしれません。
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たむらようこ
放送作家。1970年生まれ。社員が全員女性のテレビ制作会社「ベイビー・プラネット」の代表を務める。「慎吾ママ」の生みの親とも言われ、数々のバラエティ番組などを制作。
Text&Edit: Mari Matsubara